「おまえもそのうち老人になるんだ」という人もいますが、日本の医療保険は賦課方式で、今年入った保険料は今年使い切ってしまうので、老人を支援してもお返しはありません。みなさんが高齢者になるころには、医療費は5割負担でも足りなくなるでしょう。
Q. ではなぜ健保組合は老人を支援するんでしょうか?
支援金は健康保険法で決まっていて、健保組合や市町村の国民健保に割り当てられているからです。健保組合は5.1兆円の料金収入のうち、3.1兆円も支援金に取られるので8割が赤字で、解散する組合が増えています。
Q. なぜ後期高齢者の窓口負担は1割しかないんですか?
健康保険の財政が豊かだった1973年に、田中角栄内閣は70歳以上の老人医療を無料化しました。それから30年、老人医療費がゼロのままだったので、それを健保組合や国民健保から支援するのが当たり前になってしまったのです。
これでは健保組合の財政がもたないので、2002年に老人医療が1割負担になり、2008年に後期高齢者医療制度で75歳以上が1割負担になりました。その後、一部が2割(3割)負担になりましたが、高額療養制度があるので実質的な自己負担はほとんど増えていません。
Q. 税金も投入されるんでしょ?
健保組合の穴埋めでも足りない部分は税金で埋めていますが、2025年には団塊の世代が75歳になるので、2200万人が後期高齢者になり、医療費は54兆円に増え、介護も20兆円になります。その半分を税でまかなっても、増税は避けられません。それを避けようとすると、サラリーマンに負担の片寄る医療保険料の引き上げになるわけです。
Q. これで国民皆保険は守れるんでしょうか?
国民皆保険という建て前はもう崩れており、無保険で生活保護を受けている世帯が200万世帯あります。これから超高齢化が進むと保険でカバーできない高齢者がもっと増え、医療保険は破綻します。それなのに少子化対策で医療保険の赤字を増やす岸田政権は、何を考えてるんでしょうか。