河野太郎氏が提案した「現役世代の保険料の負担軽減」は、老人医療に使われている健保組合などからの支援金を見直すものです。アゴラではかねてから、この「仕送り」を批判してきました。(2023年11月12日の記事の再掲)。

Q. 少子化対策の財源はどこから出すんですか?

政府は少子化対策の財源をサラリーマンの健保組合と市町村の国民健保から「支援金」として出す方針です。これについてはこども家庭庁の有識者会議でも、健保組合の代表から「給付と負担の関係が不明確な支援金制度の創設は大きな疑問がある」と批判が出ました。

Q. 「新しい分かち合いのしくみ」とは何でしょうか?

加藤長官は、少子化対策は「子育て世帯への所得再分配」だと認めた上で、「医療保険は徴収対象が現役世代から高齢者までと幅広く、企業も含むことから上乗せ先として選んだ」と答えました。要するに取りやすいところから取るということですね。

Q. なぜ少子化対策に医療保険が使われるんですか?

健康保険料は病気になったときのためにはらう保険料なので、少子化対策とは関係ありません。もとは少子化対策の財源は税金でまかなうことが検討されていたようですが、岸田首相が「消費税の増税は考えていない」といったので、だれからもとれる医療保険に目をつけたようです。

Q. 「支援金」ってどういう意味ですか?

日本の社会保障は「国民皆保険」という建て前ですが、実際には保険料をはらっていない人や負担できない人が多く、大きな赤字が出ています。

特に医療保険では、75歳以上の後期高齢者は18.4兆円の医療費のうち、当の後期高齢者は1割しか窓口負担していません。そのため税金から8兆円出しても足りないので、健保組合や国民健保などからの支援金6.9兆円で赤字を埋めています。

東京新聞より

Q. 支援金を出す健保組合には何かメリットがあるんですか?

何もありません。健保組合に入っているのは現役のサラリーマンなので、後期高齢者に出したお金は、何の役にも立ちません。これは対価のない贈与なのです。