現役世代がこういう不公平を批判すると、団塊の世代から出てくるのがおま老である。

政治学者の吉田徹氏はこう語る(彼は団塊の世代ではないが、左翼の言い分を代表している)。

日本の場合、共感力や相互扶助の考え方が弱いのです。世代間の「縦の連帯」だけではなく、横の助け合いも同じです。自分もいつか高齢者になる、あるいは自分も生活保護の世話になるかもしれないという想像力が働かなくなっています。「今だけ、ここだけ、私だけ」という意識が強くなっています。

自分もいつか老人になるから今の給付を守るべきだ、という議論の前提は、今の負担と給付が今後も続くということだが、そんな前提は成り立たない。吉田氏は「相互扶助」だというが、この支援金には何の反対給付もない。日本の社会保障は賦課方式(pay-as-you-go)だから、今年の保険料は今年、使い切ってしまうのだ。

70歳以上の老人が少なかった時代には「親の面倒をみるつもりで」という話も成り立ったが、今やサラリーマンの払う健康保険料の半分を後期高齢者に強制的に贈与する制度は異常である。こうして保険料を食いつぶすと医療保険は破綻し、現役世代が高齢者になるころには、全世代5割負担でも足りなくなるだろう。

「寝たきり大黒柱」で年金を食い物にする家族

こう批判すると出てくるのが「老人の窓口負担を上げると介護する家族の負担が増える」という反論だが、今の制度では、高額療養費の上限がある。厚生年金の受給者は基礎控除48万円と年金控除が110万円あるので、年収158万円(月収13万円)以下だと住民税非課税になり、高額療養費も月2.5万円でずっと入院できる。