「中規模または大規模の1階以外店舗」の閉店相談割合が上昇傾向

2020年に受けた閉店相談は20坪以上の店舗が多かった。20~30坪の店舗で前年比8.6%増、次いで30~50坪の店舗(前年比5.0%増)、50~80坪の店舗(前年比2.5%増)と続いた。

業態にもよるが、飲食店では1坪につき1.5~2席の客席を設けることができる。閉店相談が多くなった店舗の傾向としては、30~50席以上の客席を持つ中規模から大規模の店舗が挙げられ、それに反して10~20坪の店舗は前年比-14%、10坪以下の店舗は前年比-2.7%と、小規模店の閉店相談割合は低下した。
 

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20~30坪、次いで30~50坪の店舗の閉店割合が増加している(写真=Foodist Mediaより引用)

また、店舗の階数による傾向にも一定の傾向が見られた。1階の店舗の閉店相談割合は前年に比べ-13%と大きく減少したが、ほかの階層についてはすべて上昇した。特に、3階以上の空中階店舗(前年比7.36%増)と地下1階店舗(前年比6.44%増)の増加率は大きく、コロナ禍での集客力低下が大きく影響していると考えられる。

先の坪数についてのデータと合わせると「中規模または大規模の1階以外店舗」の閉店相談割合が上昇傾向にあるということが見受けられる。これらは、団体客や大人数のグループをメインに集客するような業態の飲食店に多く当てはまり、オフィス立地、商業立地の客数減少も相まって、店舗運営に大きな影響を及ぼしたようだ。
 

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1階以外の店舗の閉店割合が増加している(写真=Foodist Mediaより引用)

都内中心部の閉店相談割合が増加傾向

2020年、東京都内にて運営している飲食店の閉店相談は、前年に比べ、都心3区(千代田区・中央区・港区)、副都心4区(渋谷区・新宿区・豊島区・文京区)の割合が上昇した。なかでも上昇率が大きかったのは渋谷区(前年比8.41%増)、港区(前年比5.68%増)、中央区(前年比3.05%増)。これらに該当するエリアは、区内各駅の中でビジネス立地・商業立地が広範囲を締めており、2020年4月の緊急事態宣言後の各企業のリモートワーク、商業施設・店舗の営業自粛の影響を強く受けていると考えられる。

前述した3区に次ぐ上昇率だったのは歌舞伎町などの繁華街が存在する新宿区。一方で、23区西部(品川区・目黒区・大田区・世田谷区・中野区・杉並区・練馬区・板橋区・北区)と23区東部(足立区・葛飾区・荒川区・台東区・墨田区・江東区・江戸川区)は下降傾向だった。
 

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都心・副都心の閉店割合が上昇している(写真=Foodist Mediaより引用)

2020年は新型コロナウイルスの影響により、前年とは異なる傾向が多く見られた。飲食店にとって非常に厳しい状況が続いていることから、今後も飲食店の閉店数は増加する可能性が高いだろう。

文・上條真由美/提供元・Foodist Media

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