グローバル化

今日は先輩に同行して、トレンドソフトというIT企業を訪問しました。この会社は世界的に拠点を拡大していて、外国籍の社員も大勢働いているそうです。対応してくださったのが、ラジーブ・アイヤーさん。インドの出身だそうですが、日本語も流暢で、ちょっと安心。
アイヤーさんはアメリカのコロンビア大学に留学し、哲学を学んだそうです。日本の骨董や伝統文化にも詳しくてびっくり。「京都で座禅を組みたい」とおっしゃったので、「私はお寺に興味がなく、よくわかりません」と答えたら、「インターネットより日本の古いもののほうがおもしろいですよ。日本の若い人はそうしたものに興味はなさそうで、文化が失われていくのが悲しい」って言われてしまいました。

 

世界中の情報が即座に得られるようになりました

グローバル化は、時間をかけていくつかの段階を踏みながら進んできています。最初のグローバル化は、19世紀の半ばから20世紀の初めにかけて起きたといわれています。当時、鉄道、汽船、自動車などの発明により輸送コストが大幅に安くなったこと、電信・電話テクノロジーが進み情報の伝達速度が上がったことなどにより、経済活動が国境を超えて行なわれるようになりました。たとえば、そのころのイギリスの金融機関は世界各地の植民地からの情報にもとづいて、新興市場に多額の投資を行なっていましたし、アメリカの自動車産業は、ヨーロッパを中心に世界に輸出するようになりました。

時代が下り、グローバル化はもっと生活の身近なところで感じられるようになりました。1980年代には、モノづくりに優れた技術をもった日本は、品質の高い製品を世界に輸出し、さらに主要市場に製造拠点を設けて現地生産を行なうようになりました。

1990年代に入ると、衛星通信やインターネット技術などの通信分野が大きく進化したことで、個人と個人が国を超えてリアルタイムに結びつけられるようになりました。それによって、有名な世界の製品やブランドが身近になり、世界中の人々の憧れの的になりました。

日本でも、この当時、外国のブランドが数多く国内に店舗を構えるようになりました。たとえばマクドナルドは、1995年から97年の間に国内で1000店を超える新店舗を開店させました。GAPやスターバックスなど、今日われわれの身近にある店舗も、このころに第一号店をオープンさせています。

多くの職場でグローバル化が進んでいます

グローバル化がますます身近になったことにより、職場に外国籍の社員が多数雇用されるようになりました。特に、最近では、IT企業や金融機関を中心に欧米系に加え、インドや中国といったアジア系の社員の雇用が増加しています。日本の企業ではこれまで日本人だけのモノ・カルチャー(単一文化)を前提とした職場の管理や運営が当然とされてきたことから、民族や人種の違いということが問題にされることはほとんどありませんでした。しかし最近は、異なる文化の背景をもった社員との間で文化摩擦や誤解、偏見が頻繁にみられるようになってきているようです。

国籍や文化が異なれば、組織の多様性(ダイバーシティ)が高まり軋轢も生じます。たとえばインドの人々の英語は、言い回しや言葉の使い方が欧米人とは異なります。そのため彼らの話しぶりは日本人にとって時には攻撃的に映ることもあるようです。同じように、中国系の人々の英語を攻撃的に感じてしまう人もいます。こうしたことで対人関係、特に上司部下の間で不要な摩擦が生じている例をしばしば見かけるようになりました。

価値観や文化の違いを尊重することが不可欠です

グローバル化された職場においては、文化や価値観の違いをその人の個性として受け入れ、尊重するように全員が配慮しなくてはいけません。たとえば宗教上の理由から肉食や飲酒を禁じられている人もいます。そうした人々にとって日本流の酒席での「飲ミュニケーション」は苦痛となる点を理解することが必要です。

そうした気づきを促すためにも、外国語の素養を身につけることが望まれます。語学をマスターすることは、別の世界をもう一つ知ることでもあります。そして、語学だけでなく、その国の文化・慣習などまで理解したいものです。そのためには、まずは自分の文化をしっかりと理解して、他国の人に自国の文化を語れるくらいの教養を身につけることが望ましいでしょう。これからは、ますますBe Japanese with the eyes open to the world(世界に目を見開いた日本人であれ)ということが、ビジネスパーソンの条件となっていくでしょう。

 

文・ZUU online編集部、編集者・中島 豊/提供元・ZUU online

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