2.ベスト・バイ

2012年当時、ベスト・バイは小売業の衰退の影響をもろに受けていました。

買い物客はアマゾンで購入予定の電化製品を試すためにベスト・バイの店舗をショールームとして利用し、同社の売上高は減少傾向となり、さらに同社ブライアン・ダンCEO(最高経営責任者)は従業員との不適切な関係により突然辞任しました。

しかし、ダン氏の後任者であるヒューバート・ジョリーCEOは、崩壊した在庫システムの再構築や従業員のトレーニングへの投資、アマゾンと同水準への販売価格の調整を進め、さらにはアップルのようなトップブランドに店舗スペースを貸し出し、「ショールーム」という世評に喜んで応じることで、ベスト・バイの立て直しを図りました。

また、eコマースのプラットフォームを拡大し、実店舗のネットワークをオンライン注文向けの物流センターへと用途変更しました。

昨年6月に退任したジョリー氏の7年間の在任中に、ベスト・バイは顧客を取り戻し、株価は260%上昇しました。ジョリー氏の後任者コリー・バリーCEOはその方向性を踏襲しました。

パンデミック中も、部分的な営業となることはあっても店舗を休業せず、eコマースや配達システムの稼働を継続し、社会がリモートワークやオンライン授業へ移行するのに合わせてPCや付属品の在庫を十分に確保しました。

その結果、今年上半期の米国内におけるオンライン売上は、前年同期から3桁(%)にのぼる伸びを遂げました。

上半期の総売上高は同期間前半の店舗閉鎖により前年同期から1%減少しましたが、アナリスト予想ではホリデーシーズンの販売加速を織り込み、通期売上が5%、通期利益が19%の増加となる見込みです。

ベスト・バイは小売業の衰退に抵抗できる銘柄というだけでなく、予想利益ベースの株価収益率(PER)は18倍と割安で、予想配当利回りは1.9%と高配当です(いずれも執筆時点)。

3.ターゲット

ベストバイと同様、ターゲットもかつては小売業の衰退に直面していました。

6年前にブライアン・コーネル氏がCEOに着任した際には、ターゲットの既存店売上の成長は控えめで、アマゾンやウォルマート(NYSE:WMT)との競争に苦戦しており、無分別なカナダへの進出により損失を出していました。

しかし、コーネルCEOは老朽化した店舗の修復や、都市部における小型店舗の出店を進めるほか、収益性の向上や競合する他チェーンとの差別化のために数十種類ものプライベートブランド商品を導入することで、ターゲットの業績を徐々に好転させました。

ターゲットは、配送や受け取りの選択肢を増やすことでeコマースのエコシステムを拡大し、同社の実店舗をこれらのオンライン注文向けの物流センターへと用途変更しました。

販売価格をアマゾンやウォルマートの水準に合わせ、新たなロイヤルティプログラムを提供することで顧客を囲い込みました。

また、他の小売業者が店舗を閉鎖する中、同社は店舗数を毎年増やし続けています。

その結果、米国の全人口の75%は、ターゲットの店舗から10マイル以内に住んでいます。

店舗数の多さから、同社はパンデミックの間も多くの買い物客を獲得することができました。

2020年1-9月期の総売上高は前年同期から19%増加し、第2および第3四半期にはオンライン売上が同3桁(%)の伸びを記録し、1株あたり利益(EPS)は同25%増加しました。

アナリストの通期予想では、同社の売上は前年から18%、利益は同42%増加する見込みです。

来年パンデミックが終息すればターゲットの成長は減速するとみられますが、それでも予想利益に基づくPERは22倍と妥当な水準です(執筆時点)。

さらに、ターゲットの予想配当利回りは1.6%で(執筆時点)、49年連続で年間配当を引き上げています。

文・モトリーフール編集部/提供元・The Motley Fool Japan

【関連記事】
初心者向けネット証券ランキング
日本の証券会社ランキングTOP10 野村、ネット証券各社etc.
株の売買手数料が安い証券会社はどこ?12社を徹底比較
つみたてNISA(積立NISA)の口座ランキングTOP10
証券会社の口座開設に必要な書類と日数は?