モトリーフール米国本社、2020年11月25日投稿記事より
過去10年間に小売業は衰退し、数千もの小売店は閉店を余儀なくされました。
その背景にはショッピングモールの行き過ぎた拡大、2008-09年の大恐慌がもたらした打撃、大型店やオンライン市場との競争などがあります。
今年の新型コロナウイルスのパンデミックはその状況を悪化させ、JCペニー、ニーマン・マーカスなどの小売企業が相次いで米連邦破産法11条の適用を申請しました。
小売業の状況は悲惨に見えますが、一方ですべての小売企業が打撃を受けているわけではありません。
長期にわたる衰退に抵抗する小売業の大型株3銘柄、アマゾン(NASDAQ:AMZN)、ベスト・バイ(NYSE:BBY)、ターゲット(NYSE:TGT)に注目すべき理由を以下で見ていきます。
1.アマゾン
アマゾンの拡大そのものが小売業の衰退の主要因として引き合いに出されることも多く、同社は引き続き実店舗の閉店から恩恵を受けています。
市場調査会社によれば、アマゾンは2021年に全米のeコマース売上の約40%を占める見込みで、オンライン小売業の紛れもない王者です。
さらに、2021年には米国においてeコマース売上は小売総売上の14.4%を占めるとの試算もあり、この割合は2024年までに18.1%に上昇する見通しです。
このeコマース拡大の見通しは、2019年末時点で世界中に1億5,000万人の有料プライム会員を有するアマゾンにとって、今後も拡大の余地があることを示唆しています。
パンデミックは多くの実店舗小売業を崖っぷちに追い詰めた一方で、アマゾンのeコマース事業やアマゾン ウェブ サービス(AWS)のクラウド事業を促進しました。
収益性の高いAWSの売上がより収益性の低いeコマース事業の成長を補うことで、アマゾンは積極的なディスカウントやエコシステムの拡大を行い、自身の強みを継続的に拡大することができます。
結果的に、同社の2020年1-9月期の売上高は前年同期から35%増加し、利益は同68%増加しました。
ウォールストリートはアマゾンの2020年通期売上を前年比で35%増、通期利益を同52%増と予想しています。
同銘柄の予想利益に基づくPER(株価収益率)は58倍(執筆時点)と妥当な水準を維持しています。