上の図のように日本の税率+社会保険料は、先進国の中ではアメリカに次いで低いのですが、財政赤字(借金)が10%以上あるので、2021年度の潜在的国民負担率は60.7%になりました。

しかしこれは分母が国民所得(NI)なので、実態より高く出ています(日経はまちがえてGNIと書いています)。GDP(国内総生産)から資本減耗と消費税を除いた数字です。消費税の負担率を計算する分母に消費税がないので、負担率が過大に出ています。

Q. GDP比でみると日本の国民負担率は高いんですか?

分母をGDPにすると図のように34.1%で、OECDの平均ぐらいです。でも1980年代に経済企画庁が国民所得を分母にした数字(当時は消費税がなかった)を使ったため、それをいまだに使っているので過大に出ているのです。

ガベージニュースより

Q. 国民負担は年をとったら取り返せるんじゃないですか?

国民負担が多くても、それに対応する行政サービスや所得分配があればいいのですが、日本の国民負担は片寄っています。たとえば島澤諭さんの計算では、社会保障の受益と負担は次の図のようになります。

島澤諭『年金「最終警告」』より

これは一生に受ける社会保障サービスの額から社会保険料・税を引いたものです。いま90歳の人は約6000万円の受け取り超過(社会保障が社会保険料より多い)ですが、20歳の人は約5500万円の負担超過(社会保険料のほうが多い)、まだ生まれていない世代は約1億円の負担超過になります。

Q. これから国民負担はどうなるんでしょうか?

2021年度の社会保障給付は約130兆円ですが、政府の見通しでは2040年に190兆円と、今の1.5倍になります。国民負担率も10%以上あがるので60%以上になり、財政赤字を含めて70%になるでしょう。

厚労省の資料

つまりみなさんの世代の給料の7割は天引きで差し引かれるのです。その一部は年金や医療などで返ってきますが、よい子のみなさんは生涯で1億円ぐらい損するのです。ここまで来ると人権問題ではないでしょうか。

Q. 借金して給付金をばらまけば、景気がよくなって借金が減るんじゃないですか?