米国株(アメリカ株)を買いたいがどうしたらいいのか分からないという人もいるだろう。買うために必要なこと、買い方、事前に知っておきたい知識などを紹介。長期的な成長性と高配当銘柄の豊富さなどの理由から注目が集まっている米国株の購入方法について初心者でもわかりやすく解説しよう。

目次
1,米国株の5つの特徴
2, 米国株を買うための準備&フロー3ステップを紹介
3,大手3社の米国株取引の基本情報 取扱銘柄や注文方法は?
4,初心者でも気軽に買える米国株ランキングTOP10
5,米国株売買はネット証券がよい理由

1,米国株の5つの特徴 売買単位や取引時間など、日本株との5つの大きな違い

まずは、日本株とは異なる米国株特有の特徴を簡単に列記していきたい。

特徴1,米国株はティッカーで表示する

米国株で日本株の証券コードに相当するのは、アルファベット1~5文字で表示される「ティッカーシンボル」だ。銘柄検索や株価表示の際にはこのティッカーシンボルを使用する。

アップルであれば 、ジョンソン&ジョンソンは 、フェイスブックなら となる。

特徴2,米国株の売買は1株単位

米国株の売買は1株単位
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

米国株は日本株のように単元株制度を設けていないので、1株から購入できる。

20万円もあれば株価が高いアマゾン・ドット・コム (現地2019年10月17日終値 1,787.83米ドル)の株主になれるし、マイクロソフト (同日終値139.69米ドル)なら1万5千円程度でマイクロソフト株を購入できる。

特徴3,配当が年4回の銘柄が大半 高配当銘柄も多い

米国株の配当は年4回
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

日本では年1回あるいは年2回配当の企業が多いが、米国では株主還元策として配当を重視する企業が多く、年4回配当の企業が主流である。高配当銘柄も多いため、配当目的で米国株を長期保有する投資家も多い。

特徴4,値幅制限がない

米国株は値幅制限なし
(画像=MONEY TIMES編集部制作)

米国株には値幅制限かないので、株価高騰によって大きな利益を得る可能性と、株価暴落によって著しい損失が発生するリスクがある。

特徴5,立会時間に前場・後場の区別なし 

米国市場の取引時間には、日本市場のように前場、後場の区別がない立会時間と、時間外取引の2種類がある。

【米国、夏時間】

立会時間 9:30~16:00
(日本時間 22:30~翌5:00)
時間外取引 8:00~9:30
(日本時間 21:00~22:30)
16:00~20:00
(日本時間 5:00~9:00)

【米国、冬時間】

立会時間 9:30~16:00
(日本時間 23:30~翌6:00)
時間外取引 8:00~9:30
(日本時間 22:00~23:30)
16:00~20:00
(日本時間 6:00~10:00)

時間外取引への対応は証券会社によって異なる。各証券会社の時間外取引については, 以下の記事を参考にするといいだろう。
>>米国株取引時間は何時から何時?

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2,米国株を買うための準備&フロー3ステップを紹介

米国株を買うには日本のインターネット専業証券会社を利用するのが簡単で便利、しかも低コストだ。日本語のウェブサイトで情報収集し、日本語だけで取引を完了できるので、米国株投資が初めての人でも利用しやすい。

どの証券会社を利用しても、外国株取引口座開設料と口座管理料は無料だ。

米国株を取り扱う主要ネット証券3社、マネックス証券と、SBI証券、楽天証券に共通する米国株購入までのフローは以下のとおりである。

① ネット証券に外国株式取引口座を開設する
米国株を買う、あるいは為替振替するには、証券総合口座が開設されているネット証券に、専用の外国株式取引口座を開設する必要がある。

ネット証券の証券総合口座にログインしてから外国株式メニューを開いて、「外国株取引口座を申し込む/開設する」、または「今すぐ外国株式取引口座を開設する」といったボタンを押下する。

取引ルールや重要事項説明等を確認したら、内容確認チェックボタンをチェックすると、外国株式取引口座の開設手続きは完了だ。最短で、翌営業日から米国株取引が可能になる。

※ネット証券に証券総合口座を開設していない場合は、証券総合口座開設と外国株式取引口座開設のための手続きを同時に行うこともできる。 
 

証券会社の米国株関連の簡易比較表
※取扱銘柄数は2020年8月5日現在

証券会社名 国内取引手数料(税抜) 個別銘柄取扱数
マネックス証券 約定代金×0.45%

※最低手数料
0米ドル~
上限手数料20米ドル
3,375
SBI証券 3,122
楽天証券 2,938

②日本円を米ドルに為替振替する、あるいは円貨決済する
米国株を買うには、あらかじめ外国株引取引口座に米ドルか日本円の資金を用意しておく必要がある。

【外貨(米ドル)決済の場合】
証券総合口座にログインしてからトップページより「為替取引」画面に遷移する、あるいは総合証券口座と外国株式取引口座にログインしてから「為替振替」画面に遷移する。

「為替取引」なら、通貨には「米ドル」を、さらに売買では「買付」を選択する。あるいは、「為替振替」なら、「円貨預り金から外貨(米ドル)への振替」を選択すると、次の画面で参考為替レートなどの情報が表示される。

表示された金額を確認したら、指示に応じて米ドルか日本円の買付金額または振替金額を入力すると、証券総合口座から、必要額の日本円が外国株式取引口座に為替振替される。

外国株取引サイトの買付余力(買付可能額)に振替金額が反映されたのを確認したら、米ドル資金の用意は完了だ。

【日本円決済の場合】
外国株式取引口座にログインしたら「取引」画面に遷移する。取引画面で「円貨決済」と「外貨決済」のうち、「円貨決済」を選択すると、約定後の国内受渡日時点で自動的に日本円から米ドルに為替振替される。

③米国株取引画面で銘柄を選択し、必要事項を入力して発注する。
各ネット証券のWEBサイトなどで、株価相場やマーケット情報、個別銘柄の値動きなどを確認の上、米国株取引サイトに必要事項を入力して取引を行う。

3,マネックス証券、SBI証券、楽天証券の米国株取引基本情報 取扱銘柄や注文方法は?

米国株を取り扱っている主要ネット証券3社、マネックス証券、SBI証券、楽天証券の米国株取引ルールなどの違いについて、以下を参照してほしい。
 

マネックス証券、SBI証券、楽天証券の米国株取引ルールなどの比較

証券会社名 国内取引手数料(税抜) 個別銘柄取扱数 ETF取扱数 時間外取引 注文受付時間 注文方法 取引チャネル
マネックス証券 約定代金×0.45%

※最低手数料
0米ドル~上限手数料20米ドル
3,375 285 あり 24時間 ・指値
・成行
・逆指値
・ツイン指値
・連続、OCO
など各種注文方法
・WEBブラウザ 
「米国株取引画面
/TradeStation」

・スマートフォン専用アプリ
「トレードステーション米国株スマートフォン」
SBI証券 3,122 282 なし 常時受付可能

※以下の時間帯を除く

・日本時間
19:00~19:30頃

・日本時間
6:00~9:00頃(夏時間5:00~8:00頃)
・指値
・成行
・逆指値
WEBブラウザ 外国株取引サイト
「外貨建商品取引サイト」
楽天証券 2,938 308 なし 常時受付可能

※以下の時間帯を除く
・計画メンテナンス時間

・日本時間
15:00~17:15は外貨決済のみ
・指値
・成行
・WEBブラウザ
・トレーディングツール
「マーケットスピード」

※取扱銘柄数は2020年6月29日現在

4,初心者におすすめの米国株ランキングTOP10――80米ドル以下で買える高配当銘柄は?

米国株の買い方がわかったら、次のステップは銘柄選びだ。日本でもよく知られたアップルやマイクロソフトなどの値がさ株を購入するのも悪くないが、少額で買えて配当が期待できる銘柄もチェックしておきたい。

そこでSBI証券の米国株スクリーナーを使用して、米国株初心者でも買いやすい個別銘柄を以下の条件で検索した。

【スクリーニングの条件】
米国の全市場の全業種
個別銘柄
大型株、中型株、小型株
ダウ平均、ナスダック100、S&P500構成銘柄
実績配当利回り3.0%以上
予想配当利回り3.0%以上
出来高6日÷25日倍率(倍)1倍以上

上記の条件でスクリーニングをした結果、20社が抽出された。予想配当利回りの降順で並べ替え、その中から買いやすい価格帯である80米ドル以下(現地時間2021年2月15日終値)の銘柄を抽出した。

順位 銘柄名
(ティッカー)
予想配当
利回り(%) (実績)
株価(米ドル) 市場
1 ファーストエナジー(FE) 4.87% 31.25 NYSE
2 クラフト・ハインツ(KHC) 4.52% 35.39 NASDAQ
3 エディソン・インターナショナル(EIX) 4.23% 57.91 NYSE
4 インターナショナル・ペーパー(IP) 4.17% 49.21 NYSE
5 インターパブリック・グループ(IPG) 4.14% 24.61 NYSE
6 アムコア(AMCR) 4.04% 11.50 NYSE
7 ケロッグ(K) 3.97% 57.42 NYSE
8 レゲット・アンド・プラット(LEG) 3.78% 42.36 NYSE
9 カーディナル・ヘルス(CAH) 3.71% 51.86 NYSE
10 ヘルスピーク・プロパティズ(PEAK) 3.59% 30.94 NYSE
※現地時間2021年1月15日終値時点
(※筆者作成)


 

ランクインした10社の中には、米国の代表的な株価指標にも採用されている企業もあるため安全性は高い。配当利回りも高いので、中長期の資産形成にも向く銘柄だ。

対象銘柄を絞り込んだら、関心のある業種や事業内容の企業を選んでみよう。

第1位,ファーストエナジー(FE)――米国公益事業の持株会社

ファーストエナジーは、米国の公益事業持株会社である。子会社を通じて規制配布、規制送電、競争エネルギーの3つの主力事業を展開。約600万人の顧客に電力を供給している。

2020年3月には、新型コロナウイルスによるロックダウンで工場や商店が休業。エネルギー需要の低下により、株価は大きく下落した。現在も、株価はコロナ前の水準まで戻っていない。

2020年12月期の四半期決算を見ると、第1四半期から第3四半期までで営業利益が約7倍に拡大。投資キャッシュフローも第1四半期から第3四半期まで、マイナスが約3倍に膨らんでいる。このことから設備や事業に積極的に投資を行い、利益を出していると考えられる。

2020年12月期1株当たりの年間配当実績は、1.56米ドル。

第2位,クラフト・ハインツ(KHC)――米国の食品加工メーカー

クラフト・ハインツは、日本でもケチャップなどでなじみある米国の加工食品メーカー。米国とカナダを主な製造地とし、全世界で商品を販売している。乳製品や調味料、缶詰、冷凍食品など取り扱う品目も多彩だ。

2020年2月に感染拡大した新型コロナウイルスにより、米国はロックダウン。自宅で過ごす機会が増えたため、食品需要が拡大した。株価は一旦下がったもののすぐに戻り、現在はコロナ前の株価を超えている。

2020年12月期第2四半期は営業利益がマイナスとなったが、第3四半期はプラスに転換した。2020年12月期1株当たりの年間配当実績は、前年と同じ1.6米ドル。

第3位,エディソン・インターナショナル(EIX)――電力持株会社

エディソン・インターナショナルは、米国を中心に世界各地の発電所を運営する電力持株会社。主力は規制電力事業と競合電力事業だ。

2020年3月は、新型コロナウイルスの影響で電力需要が大幅に落ち込んだ。その結果、株価は一時半値まで下落。その後徐々に需要が戻り、2020年12月期の第1四半期から第3四半期までで、営業キャッシュフローが約3倍に増加している。

2020年12月期の1株当たり年間配当実績は増配し、2.575米ドル。

第4位,インターナショナル・ペーパー(IP)――世界で事業展開する製紙会社

インターナショナル・ペーパーは、世界で事業を展開する米国の製紙会社である。業務用の包装用品や書籍用非塗工紙のほか、家庭向けに食品や化粧品などの包装材の製造も行っている。

2020年12月期は第1四半期から第4四半期まで順調に営業利益を伸ばしているが、財務キャッシュフローのマイナスが目立つ。2020年12月期の1株当たり年間配当実績は前年から増加し、2.05米ドルとなった。

第5位,インターパブリック・グループ(IPG)――世界的な大手広告企業

インターパブリック・グループは、広告とマーケティングを主な事業とした世界的大手の広告会社だ。広告やダイレクトマーケティングを行うほか、イベントなどの企画を担うこともある。

2020年2月、新型コロナウイルスの感染拡大により、イベントの中止や取引先の経営が不安視され、同社も株価を大きく下げた。同年4月には、広告収入の増加率が低下していることを発表した。

2020年12月期第2四半期は営業利益が大幅に減り、当期純損失を計上。しかし、第3四半期は営業利益を伸ばし、大幅な黒字に転換した。以降、株価も順調に戻している。今後、新型コロナウイルスワクチンの普及などによって対面型のイベントが復活すれば、業績や株価にもプラスに働くだろう。

2020年12月期1株当たりの年間配当金は、1.02米ドルを予想。

第6位,アムコア(AMCR)――世界展開する梱包資材メーカー

アムコアはオーストラリアの梱包資材の会社で、全世界に向けえ商品を提供している。食料品や段ボール資材のほか、製薬など医療分野に向けて密閉梱包などのサービスも提供。2020年2月以降、株価は緩やかに上昇している。世界で医療用の滅菌包装材料なども広く販売していることから、今後も新型コロナウイルスによる需要拡大が期待される。

2020年12月期第3四半期は営業キャッシュフローが赤字となったが、当期純利益は増加し、設備投資を拡大した。2020年12月期1株当たりの年間配当実績は前年を上回り、0.4625米ドルとなった。

第7位,ケロッグ(K)――米国インスタント食品会社

ケロッグは、シリアルの人気商品「ケロッグ」商品を筆頭に、シリアルやインスタント食品を扱う会社である。米国はもちろん、カナダや日本など世界各地で商品を販売。2019年には傘下のモーニングスター・ファームが、大豆ミートの販売開始を発表した。

2020年12月期1株当たりの年間配当実績は2.28米ドルで、2021年12月期第2四半期配当金の増配を発表し0.58米ドルを予定している。

第8位,レゲット・アンド・プラット(LEG)――事業用備品、家庭用家具の部品メーカー

レゲット・アンド・プラットは、マットレスや椅子、ソファー用スプリングなど家庭用品の部品や、商業用備品、自動車用備品などを扱う会社だ。1999年より連続増配を行っている企業であり、高配当銘柄を好む投資家から支持されている。

2020年12月期は、第1四半期から第3四半期まで営業利益が順調に増加。2020年12月期の1株当たり年間配当実績は、1.6米ドル。

第9位,カーディナル・ヘルス(CAH)――米国の医薬品を含むヘルスケア用品販売会社

カーディナル・ヘルスは、米国とプエルトルコで医薬品やヘルスケア用品の販売やサービスを手掛ける会社だ。2020年11月、アマゾン・ドット・コムが処方薬販売に乗り出したことで、同社を含むドラックストア関連株の株価が下落した。現在の株価は、11月以前の水準まで戻っている。

2021年12月期の第1四半期から第2四半期にかけて、営業キャッシュフローが約7倍に増加。2020年12月期の1株当たり年間配当実績は、1.9292米ドルとなった。2021年12月期の第1四半期から第3四半期までの配当金は増配しているため、2021年12月期の年間配当金は増加の見込み。

第10位,ヘルスピーク・プロパティズ(PEAK)――米国の医療業界REIT

ヘルスピーク・プロパティズは、米国の医療業界を対象にしたサービスを展開している不動産投資信託である。主にシニア住宅や医療施設を対象に、買収や賃貸管理、売却などを行っている。

2020年12月期第4四半期の業績は、前期を大きく上回った。2020年12月期全体では、前期から総資産や利益が増加しているため、事業が順調であることがわかる。

2020年12月期の1株当たり年間配当実績は、1.48米ドル。

5,ネット証券を使えば、米国株(アメリカ株)取引は意外にも簡単で低コスト

米国株を買うには、英語で書かれた投資情報や取引画面を読んで取引しなければならない、あるいは為替取引もあるので手順が複雑ではないかと考えると、否が応でも米国株取引のハードルが上がってしまう。

しかし、マネックス証券やSBI証券、楽天証券のようなネット証券を利用すれば、米国株は思いのほか簡単に、その上低コストで取引できる。

ネット証券に外国株式取引口座を開設すれば、日本語の豊富な投資情報や各種ニュース、レポートを読んで冷静に投資判断を下し、日本語で書かれた取引画面上で、国内株同様に発注可能だ。

米国マーケットは、人口増加とともに技術革新による企業の成長を期待できる魅力ある市場。長期投資による資産形成を目指して、今から米国株の購入を始めてみてはどうだろうか。

実際に米国株(アメリカ株)投資を始めてみる

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近藤真理
執筆・近藤真理
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。
証券会社の引受業務やビジネス系翻訳携わったのち、個人投資家として活動。現在は総合証券、ネット証券の両方を使いこなし、経済、金融、HR領域で多数の媒体で執筆中。2019年にフィナンシャルプランナーの資格取得。

 

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