最近、「なんだか人と会うのがしんどい」「人間関係に疲れた」と感じることはありませんか?
そんなとき積極的にひとりで過ごす時間が実は心と体の健康にとって大切だということが、近年の心理学研究で明らかになってきています。
ただし、スマホ片手に過ごす孤独と、ひとり心の内側に向かう孤独では、効果に大きな違いがあるようです。
今回は近年の心理学研究で注目されている「ポジティブな孤独(Positive Solitude)」について見ていきます。
目次
- 「ポジティブな孤独」のメリットとは?
- ひとりになってもSNSを使っては意味がない
「ポジティブな孤独」のメリットとは?
近年、アメリカでは「孤独の流行(loneliness epidemic)」が話題になっています。
数十年前に比べて、ひとりで過ごす時間が増えており、ひとりで食事をしたり、ひとり旅をする人の数は増え続け、単身世帯の割合も過去50年間でほぼ倍増しました。
これはアメリカだけでなく、日本を含む世界の都市圏で見られている現象です。
その中で、アメリカ公衆衛生局はひとりでいることは危険であり、2023年にこの問題を公式に警告しています。
確かに慢性的な孤独や社会的孤立は、うつ病や寿命の短縮と関連があるとされ、注意すべき問題です。
しかし一方で、「ひとりの時間=悪」と決めつけるのは早計です。
実は最近の心理学研究では「ひとりの時間を上手に使う人ほど、心が安定している」という報告が増えており、このことから「ポジティブな孤独(positive solitude)」という新しい考え方が注目され始めています。

これは個人が自発的にひとりの時間を選択し、その時間を自己反省、創造的活動、リラクゼーションなど、自己充実のために有意義に活用する状態を指します。
現在では心理学者の多くも「このタイプの孤独にはメリットがあり、孤独が必ずしも否定的なものではなく、適切に活用されれば精神的健康や生活の質の向上に寄与する可能性がある」と述べています。