トランプ氏は、対中関税に続き、貿易赤字を理由に「相互関税」の導入も表明しており、60カ国以上が対象となるが、これに対しても追加の訴訟が起こる可能性がある。IEEPAが関税を認めていない点は共通しており、法的にはさらに脆弱とされる。これらの関税は今後数日内に発動される予定で、提訴は発動後になる見通しだ。
NCLAの弁護士ヴェッキオーネ氏は、「IEEPAは敵国への禁輸や資産凍結は認めても、関税の導入は認めていない」と強調し、「50年の歴史の中で、関税目的に使われたことは一度もない」と述べた。NCLAは年内にトランプ関税の違憲判決を目指しており、裁判の結果が今後の関税政策に大きな影響を与える可能性がある。
連邦最高裁の9人の判事のうち6人は保守派とされるが、ロバーツ長官は穏健派であり、従来の法解釈を逸脱するトランプ関税を違憲とする可能性がある。
結論
4月9日の関税実施を阻止する法的手段はないが、トランプ関税がIEEPAに違反する疑いは強いので、連邦最高裁まで行けば、差し止め命令が出る可能性がある。
違憲訴訟は今後も数多く起こされる見通しだが、連邦最高裁に直接提訴し、差し止め決定が出れば、今年中に関税が一旦停止になる可能性もある。長期的にもこのような乱暴な関税が続くとは考えにくいので、何らかの法改正がおこなわれるだろう。