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米国へグセス国防長官の『最前線』表明
就任後初来日した米国トランプ政権のへグセス国防長官は、2025年3月30日、防衛省で行われた日米防衛相会談後の共同記者会見で、いわゆる台湾有事を念頭に『日本は西太平洋で最前線に立つ』と表明した(『赤旗』2025年4月1日)。
この表明に対して、同席した日本の中谷元防衛大臣からは特段の異論はなかった。したがって、外交的には日本はこれに同意し承諾したものと見做される。
米国トランプ政権の真の狙い
米国トランプ政権は、周知のとおり『アメリカ第一主義』である。すなわち、外交・防衛・經濟・貿易を含め、アメリカの国益を最大化する諸政策の推進である。そのためには、手段を選ばないのであり、日本、欧州などの同盟国・友好国に対する関税引き上げもその一環であり一切躊躇しない。
外交・防衛に関しても同じであり、米国の負担軽減のための、NATO諸国に対する軍事費増額要求、ウクライナに対する軍事支援の縮小停止、在日米軍基地の経費削減、日本に対する防衛費増額要求などもこの流れである。
この流れは、軍事紛争への対処にもおよび、米国は直接介入をせずに負担や被害を最小化し、同盟国・友好国を直接介入しない米国の『代理人』として、対ロ、対中、対北朝鮮の軍事紛争に直接介入(「代理戦争」)をさせ、米国の権益や国益の維持増進を図るのが米国の真の狙いと言えよう。
このように考えれば、上記の米国防長官の『最前線表明』の本質が理解できるのであり、仮に台湾有事が起これば、直接介入しない米国の『代理人』として、日本を最前線で中国と戦わせるというのが米国トランプ政権の偽らざる本音と言えよう。
核を持たない日本の宿命的弱点と限界
しかし、核を持たない日本が、核を持つ中国と互角に戦うことはできない。なぜなら最終的には核攻撃を受ける危険性があるからである。あたかも、核を持たないウクライナが核を持つロシアと互角に戦えないのと同じである。ここに核を持たない日本の宿命的な弱点と限界がある。