しかし一方で、第2ラウンドに向けて複数の海域で調査を行い、複数案件への入札準備を進めていた事業者の中には、結果的に1ヵ所しか入札できず、それ以外の調査結果や準備が無駄になってしまったチームもあったようです。

同時期にまとめて入札を行わず、1ヵ所ずつ順次入札を実施していれば、落札できなかったチームも他の案件に挑戦する機会があったはずです。結果として、迷走するルール変更に振り回された格好となりました。

② 事業計画の迅速性に20点を配点

第1ラウンドでは、事業の「確実性」は評価対象に含まれていましたが、「迅速性」は評価項目に入っていませんでした。少しでも早く運転を開始させたい経済産業省としては、今後は運転開始時期の早いチームが有利になるよう、評価点が高くなる仕組みに変更したのです。

しかし、現時点で対象エリアが秋田県沖に集中している状況では、使用できる港湾が秋田港と能代港に限られており、それだけでは対応しきれず、工事スケジュールの遅れを招いています。つまり、公募基準を変えるだけで解決できる問題ではないのです。

③ 入札の価格をFIT(固定価格買取) ⇒ FIP(フィードインプレミアム) へ

FIT(固定価格買取)制度では、最初に定められた売電単価で、定められた期間にわたり電力を買い取る仕組みのため、売電単価が高ければ、発電事業者は長期にわたって安定した高収益を得ることができます。しかし、洋上風力のように入札制が導入され、事業を受注するために低い単価で落札した場合、その安い単価が契約期間中ずっと適用されることになります。結果として、将来にわたって収入の足かせとなってしまうのです。

これに対して、FIP(フィード・イン・プレミアム)制度はかなり複雑な仕組みですが、ここでは概要だけを説明します。FIP制度では、売電単価は電力の市場価格をベースとし、そこに一定額の補助金(プレミアム)が加算される形になります(図1)。