産業界の猛烈な反発を押しのけて、ついにたばこには「発がん性あり」のラベルが公式に貼られることになりました。
ここから分かるのは、「発がん性あり」という判定には、長期的で緻密な科学プロセスが必要だということです。
単なる“怪しいかも”レベルでは認定されないのです。
じゃあ、私たちはどこまで気にすべき?
ここまで聞くと、「じゃあ発がん性ってかなり信頼できる情報なんだ!」と思うかもしれません。
それは事実です。
しかし同時に、“発がん性あり”=“ただちに影響がある”というわけではありません。
たとえば、紫外線も発がん性ありですが、太陽を完全に避けることはできません。
コーヒーも過去に発がん性の疑いがかけられましたが、のちにグループ3(証拠不十分)に戻されました。
コーヒー、スマホ、紫外線、恋愛…全部“発がん性があるかも”と言われても、どれも人生に必要なものです。
それらをすべて避けることも、常に気にして生きることもできません。
つまり、「何が危険か」ではなく「どんな条件でどれだけ摂取するか」を考えるべきなのです。
加工肉を毎日300g食べるのと、週に1〜2回少量食べるのではリスクは全く異なります。
スマホの電波についても同様。どれだけ長時間、どれくらい密着させて使用しているのかで影響は変わってきます。
私たちがやるべきことは、「全部避ける」ことではなく、“発がん性”というリスク評価を知ったうえで、優先順位をつけて上手に距離を取ること”なのです。
科学は、ゼロリスクを求めるものではなく、「リスクを見える化し、正しく判断するツール」です。
だから私たちも、「なんとなく怖いから避ける」とか「頭から信じない」のではなく、“知識をもって判断する”態度が求められているのです。
発がん性という言葉を、正しく恐れ、正しく付き合う。それが私たちの人生に必要な知的なサバイバル術なのです。
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