<影響と対策>
組織慣性は企業活動を阻害し、イノベーション機会の喪失や競争力低下を招きます。持続的成長のためには、過去の成功体験に囚われず、常に学習し適応する組織文化の構築が不可欠なのはこのためです。
ピラミッド型は正しい組織のあり方
組織慣性への対応策として、これまでは組織設計に焦点が当てられてきました。フラット化組織、オープンアーキテクトなどは、上司と部下の関係性に着目しています。つまり、組織の構成員内部に限定された施策が主流だったと言えます。
しかし、近年の世界的な不況やデフレにおいては、従来型の組織設計アプローチだけでは十分な効果を発揮できないことが明らかになってきました。組織内部の改革だけでは、大きな経済環境の課題に対応するには限界があるのです。
安藤社長は組織のあり方について次のように解説します。
「皆さんの職場はどんな構造になっていますか?経営者がトップにいて、その下に役員、部長、課長といった中間管理職が並び、一般社員が土台を形成する。そんな『ピラミッド構造』が一般的ではないでしょうか。近年、この『ピラミッド』という言葉に嫌悪感を持つ人も増えています」
「現代社会で苦戦している日本の大企業を見ると、ピラミッド組織に問題があると思いがちです。しかし、これは誤解なのです。ピラミッド構造には独自のメリットがあります。識学では、組織の成長スピードを重視した場合、ピラミッド構造が最も効率的で最速の組織形態だと考えています」
すでに出来上がった会社組織にいる人は、ピラミッド組織に適したマネジメント法を実践する必要があります。しかし、「ピラミッド構造だと上に決済をとるまで時間がかかって、なかなか決まらない」という声も聞きます。これは、大きな誤解だと、安藤社長は言います。
ピラミッドの形が悪いわけではなく、「ピラミッドに合わせて組織が運営されていない」ことが原因です。それぞれのリーダーが持つ責任の範囲が曖昧だから、1つ1つの決定を押し付け合い、意思決定のスピードが落ちるのです。