北里大学と鈴廣かまぼこの研究グループは、高塩分と低塩分のイカの塩辛について、代謝産物と細菌叢の違いを調査し、それぞれ異なる組成と細菌叢の変化があることを発見しました。この成果は2024年12月に学術誌に掲載されました。
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イカの塩辛
イカの塩辛は日本の伝統的な発酵食品のひとつです。北海道や青森県など各地でイカの塩辛が製造されており、ご飯のお供に欠かせない食品でもあります。
そんなイカの塩辛ですが、伝統的な製造法と現在主流となっている製造法では違いがあるのです。
そこで、北里大学海洋生命科学部の水澤奈々美特任助教と渡部終五客員教授、鈴廣かまぼこ株式会社の基礎研究機関「魚肉たんぱく研究所」の植木暢彦所長らによる研究グループは、伝統的なイカの塩辛と現在のイカの塩辛の細菌叢の変化と代謝産物の組成を調査しました。
伝統製法は高塩分
伝統的なイカの塩辛と、現在主に市場で流通しているイカの塩辛は塩分濃度が異なります。
伝統的なイカの塩辛は通常12~15パーセントの高塩分で製造されますが、これにより腐敗菌の増殖を抑えられるほか、発酵に関わる細菌(Staphylococcus 属など)が増加することが報告されているようです。
一方、現在のイカの塩辛は健康志向により5パーセント程度の低塩分の製品が主流となっており、塩分が低いと腐敗菌の増殖を十分に抑えられないことから低温下での管理が必要とされています。
低温環境では発酵や酵素の働きが抑制されることから、伝統的なイカの塩辛のような風味が損なわれることが懸念点です。

イカの塩辛の謎に迫る研究発表
北里大学海洋生命科学部と鈴廣かまぼこ株式会社の基礎研究機関「魚肉たんぱく研究所」による研究グループは、伝統的な高塩分のイカの塩辛と低塩分のイカの塩辛の代謝産物(生体内の代謝によって生じる物質)の組成と細菌叢(ある特定の環境に生息する細菌の集まり)の変化を調査。