関税分は中国当局に収められ、国内における若手選手の育成に費やされることになった。その理由は中国代表の強化とされたが、今となっては、その関税分はどこに消えたのか知る由もない。

プレミアリーグにおける税金の流れ
プレミアリーグにおける移籍に伴う金銭の流れは複雑で、税務上も特殊な扱いを受けている。しかし、移籍に関連する様々な取引が課税の対象となっている。
20%のVATは商品やサービスについて付加された価値に対して課される消費税である。移籍金にはVATだけでなく、代理人費用やリーグへのリベート(プレミアリーグでは4%)などの追加コストが含まれる。これらは全て税金の一種だが、関税とは異なり、クラブの運営コストの一部として扱われる。また、選手が移籍金の一部を受け取る場合、その金銭は所得税の対象となる。
クラブは選手の移籍金を「資産」として扱い、契約期間にわたって減価償却することができる。これにより、クラブは会計上の利益を調整し、税負担を軽減することが可能だ。
2003年にチェルシーを買収したロマン・アブラモビッチ氏は、その資金力を武器に多くの一流選手を獲得したが、長期契約を結ぶことで年間の会計上の支出を抑えるという戦略を取った。これにより、FFP(ファイナンシャルフェアプレー)規則に抵触することなく、大型補強を実現させた。その手法は現在、欧州ビッグクラブのスタンダードとなっている。
プレミアリーグのクラブは、一般の企業と同様に法人税の対象となる。イギリスの標準法人税率は19%だが、2024年4月からは25%に引き上げられた。この税率の引き上げは、クラブの財務に大きな影響を与えている。
放映権収入・チケット販売・スポンサー・グッズ販売・選手の移籍といった様々な収入に対して法人税が課されるが、クラブは様々な経費を計上することで課税対象となる利益を調整している。主な経費項目には、選手や従業員の給与、施設の維持費、移籍金の償却費などがある。