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北朝鮮の野望
北朝鮮はいよいよ核武装の完成に向けて最終段階に達しようとしている。
最終段階とは何か——
それは、原子力潜水艦の開発である。
北朝鮮は2006年の核実験からすでに足掛け20年になろうとしている。この間に、核弾頭搭載が可能な大陸間弾道ミサイルもほぼ完成させたとみる。当時は野望と見られていたが、北朝鮮の核武装は強固で揺るぎない現実となりつつある。
その最終目標は、核弾頭搭載ミサイルを運搬する〝弾道ミサイル原子力潜水艦〟を開発し、配備することである。
北朝鮮はすでに通常の潜水艦(ディーゼルエンジン駆動)を保持しており、その潜水艦からのミサイル発射実験も成功裡に終えている。
原子力潜水艦のなにがいいのか
原子力潜水艦のメリットは非常に大きい。そのメリットは、海上に浮上することなく長期間潜り続けて任務を遂行できることにある。通常動力型(ディーゼルエンジン駆動)では連続潜行期間はせいぜい数週間とされている。その最も大きな要因はエンジンの燃焼のための酸素補給である。酸素補給のためにはどうしても一定期間後に浮上せざるを得ない。
一方、原子力潜水艦はこの酸素補給の問題がないので、原理的にはいつまでも潜り続けることができる。いつまでもといっても、いずれ原子炉の燃料交換が必要になるので、まあ、数年程度と考えて良い。
ただし、現実的には機器のメインテナンスや乗組員の健康・生命維持のために数カ月に1度程度は浮上しているようである。
北朝鮮の原潜が完成すれば、日本列島を何ヶ月もぐるぐると潜行することなど、いとも容易い。
そればかりか敵対国であるアメリカ合衆国の喉元つまりメキシコ湾(アメリカ湾)の公海上をうろついた後にそのまま潜行して北朝鮮に帰港することができてしまう。そうすれば最大射程5000キロメートルの中距離弾道ミサイルさえ搭載していれば、十二分に米国のワシントンDCやニューヨークのみならず、主な都市や枢要施設が容易に攻撃目標に入ってくる。