日本人と韓国人ほど仲の悪い隣人もいない。日本人は韓国人が大嫌いで、韓国人は日本人を憎んでいる。

この不幸な関係は、疎遠であるがゆえではなく、親密さから来ている。言葉も近く、顔や身体的特徴、風習も似ており、他の外国人より接触する機会もはるかに多い。その近さゆえに、かえって粗が見えるのではないかと思う。

歴史についても、互いのプライドが正面衝突する。近年、嫌韓歴史本がブームになっているのもそのためだ。

一方、日本国内では反体制、特に反天皇制の立場から韓国の国粋主義的な歴史観に便乗してそれを利用する人たちも多く、事態を複雑にしている。

そうした背景もあり、日本で刊行されている韓国の歴史本は、嫌韓か媚韓のどちらかになってしまう。そこで本書では、中立的な外国人になったようなつもりでこの隣国の歴史を、同じ姿勢で日本のこともとらえながら描いてみた。

その結果、外交的配慮はあまりしていないので、韓国・朝鮮の人から見て少し気に入らないところもあると思う。また、日本人にとっても、保守派・親韓派いずれからも嫌がられるのではないかと心配したが、幸い、これまでにない中立的な日本語による韓国史だと評価された。

なにしろ、方向がどうであれ、配慮ばかりしていると真実から離れていくと思う。特に韓国との関係においては、主張すべきところはきちんとしていかないと、あまり良い関係はつくれない。文在寅時代の中国など、高句麗や百済はいずれも中国人の国だったなどと言いたい放題だが、特に恨まれているわけでもなく、中韓関係はどんどん深化しているのだから、日本人も言いたいことは言えばいい。

とくに古代史の分野では、韓国が先進国で日本に一方的に物を教えたとか、日本が半島を支配したことはないといった見方は、はっきり否定すべきだ。稲作が温暖な日本より寒冷な半島で先に発展するはずがない。また、日本の半島支配は中国の史書にも、好太王碑にも書いてある動かしがたい史実だ。