もし後ろにスペースがなければ、なるべく立たないようにする。水面に影を落とさないようにするのだ。もちろん釣っているときは、なるべく立たず座ったままが理想。足元に魚が固まっていた場合、立った瞬間に影を落としてしまうからだ。
また移動するときも、なるべく足音を立てないようにする。水の中は思った以上に音が伝わるので、イケスの上をドタドタ歩くだけでも魚の警戒心を高めていると考えよう。抜き足差し足で魚に気配を悟られないように忍び寄り、警戒心を与えないように軽い仕掛けでそっとアプローチする。まさに忍者釣法だ。
貸切と乗合
釣り堀は貸切と乗合に分かれている。貸切は仲間同士6〜8人で1つのイケスを貸し切り、他に気を使わずのんびり楽しめる。乗合は1つのイケスで、他の釣り人と一緒に釣りをする。少人数での釣行は、ほぼこの乗合になることが多い。
忍者釣法をするなら、断然貸切が有利。全員で息を合わせて、静かにイケスの魚にアプローチしたい。

乗合であれば、なかなかこうはいかない。アングラーそれぞれの考えがあり、それぞれの釣り方がある。だが考え方を変えれば、例えば他の釣り人がイケスをのぞき込み、音を立てながら釣りをしていたとしたら、静かにそっと釣っている自分の前に魚が集まりやすい……とも考えられるのだ。
もちろん警戒心が高まっているので、簡単に釣ることはできないだろうが、少なくともチャンスは増えると前向きに捉えたい。
場を休ませよう
また、これは貸切でしかできないことだが、一定の時間一切の仕掛けを上げて水際から釣り人が姿を消すというもの。
決して安くはない料金を払って釣りをする以上、実行するのはなかなか勇気がいるが、人の気配を一切断ったイケスでは一気に魚が浮くことが多い。

実際乗合イケスで終了時間がきて釣り人が続々と引き上げていくと、それまで姿を見せなかった青物やシマアジが、悠々と表層を回遊するようになる。その下にはマダイも警戒心を解いて泳ぎ回るようになる。そしてイケスに近寄ると、慌てて姿を消してしまう。
