生臭さや磯臭さなど、魚を調理上で悩まされる「臭み」。そのいずれもを打ち消す、超強力な調味料が東南アジアの国にあります。
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あらゆる魚介類を食べるベトナム
世界で最も多種多様な魚介類を食べる国は一体どこでしょうか。多くの人は「中国」と答えるでしょうが、個人的には「ベトナム」ではないかと考えています。
ベトナムの国土には長い海岸線延長と豊富な沿岸環境に加え、南部にはアジア有数の大河であるメコン川の河口デルタも存在し、海から淡水まで幅広い魚介類が食用にされています。

ベトナムで食用とされる水産物には様々な海水魚介類はもちろんのこと、汽水域の魚介類、淡水の魚介類、水田地域ではタニシやヌマガイのような淡水性の貝類、各種甲殻類、カエルなどの両生類、水生昆虫にゴカイなどの多毛類まで含まれています。ベトナムの市場にはこれらの食材が一同に介し、まさに生の食材図鑑です。
ベトナム風「万能スパイス」
そんなベトナムでは、調理のときに非常に沢山のスパイスやハーブを用いることが知られています。代表的なものだけでも、レモングラス、シャロット(アカワケギ)、パクチー、各種唐辛子、コブミカンの葉、ガランガル(タイ生姜)、ウコン、ショウガ、にんにく、胡椒類などなど。

そしてベトナムではこれらのスパイスをいくつも合わせてペーストにし、食材に塗りつける手法がよく用いられます。塗りつけてから調理することも、調理後につけて食べることもあります。
組み合わせを少し変えることはありますが、これらのスパイスとハーブのペーストは非常に広い範囲の食材に用いられます。そしてこのペーストは魚の生臭さ、磯臭さ、淡水生物の泥臭さ、獣臭さや血の匂いなどあらゆる不快な香りをシャットアウトしてくれます。
我々日本人も味噌や醤油、日本酒をつかって同様の臭い消しを行いますが、ベトナムのペースト調味料のほうが「臭みを消す力」は遥かに上です。