パリ協定は空文化しているので、そんな約束を守る必要はないという立場もありうるが、それでも炭素税は必要だ。他の補助金をやめて炭素税だけで環境負荷を最適化することが望ましい。国民民主党が炭素税に反対だというなら、そういう立場を明らかにし、パリ協定からの脱退を提案すべきだ。
参院選目当ての減税ポピュリズム
国民民主の目的は明らかだ:参院選の人気取りである。昨年の総選挙で「103万円の壁をなくして手取りを増やす」という公約が大当たりしたので、国民民主はなりふりかまわず減税を主張する減税ポピュリズムの党になり、維新までそれに合流した。
かつての「デフレ脱却」に代わって最近は「減税で手取りを増やす」が万能のスローガンになっているが、これもデフレ・ゼロ金利時代の遺物である。歳出を削減しない限り、減税は財政赤字を増やし、税負担を後の世代に先送りするゼロサムゲームにすぎない。
需要不足のとき需要を追加する効果はあるが、今は完全雇用でインフレである。この状況で特に不足している化石燃料の需要を追加するとインフレ税が上がり、貧困層の実質所得が下がるだけだ。
世界的にトランプ政権の関税政策でインフレ圧力が高まっているとき減税するのは、嵐の中で窓を開け放つようなものだ。石破政権は減税ポピュリズムを拒否し、財政規律を守るべきだ。