ガソリン減税(暫定税率の廃止)を今年4月に前倒ししろという国民民主党の主張に、維新が賛成する方針を決めた。
吉村代表、呼びかけありがとうございます。
私たちとしては物価高騰に苦しむ国民のために、来年度から速やかにガソリン減税を行うべきとの立場であり、「再来年度から」ありきの協議には疑問を感じます。… https://t.co/INZnNYLuCQ
— 玉木雄一郎(国民民主党) (@tamakiyuichiro) March 6, 2025
インフレの最中に減税してはならない
暫定税率はリッター当たり25.1円で、この廃止が国民民主党の従来からの主張だった。昨年12月の自公国3党合意で、2026年4月からの実施が決まったが、国民民主はこれを今年4月に前倒ししろと主張し、それに維新も合意した。
まずインフレの最中に減税してはならない。これは公務員試験にも出るマクロ経済学の基本だ。インフレのとき政治家は「生活支援」と称して減税やバラマキをするが、それは消費を拡大してインフレを加速し、結果的には実質賃金を下げて国民は貧困化する。これは1970年代のスタグフレーション以来、経済学の常識である。
まして今は、長期金利が1.5%に上昇して財政危機が顕在化している。トランプが「円安は許さない」と圧力をかけたことで、為替相場も円高になり、日銀の追加利上げも予想されている。こんな環境で、財源の当てもない減税を前倒しするとは、どういうセンスなのか。
ガソリン減税はパリ協定違反
もう一つは、世界的に資源インフレが進行している時期に、ガソリンの消費を拡大してはいけないということだ。日本のガソリン価格(税込み)はOECD38ヶ国のうち下から4番目である。日本より安いのは産油国だけだ。
この図を見ればわかるように、ヨーロッパのガソリン税は100%近い。これは炭素税をかけているからだ。日本政府が約束した「2035年に温室効果ガス60%削減」というパリ協定の約束(NDC)を実現するには、少なくとも150%のガソリン税が必要だ。ガソリン減税はパリ協定違反である。