違うと私はみる。とび出る目玉は、鳥山の最初の投稿まんが(佳作にも入らずボツ)から現れているモチーフで、

「アワワワールド」より。23歳の誕生日に描き始めた

彼の描き線に非凡なセンスを感じた若き鳥嶋が、鳥山の「ジャンプ」デビューを目論み、そしてボツを(一年にわたって)何度も何度も出していくうちに――

鳥山は台詞に頼らずまんが絵の力でドカンと笑いを取る技を、次第に会得していった。

ちなみに当時(昭和55年)には漫才ブームがあった。それが「ドクタースランプ」第一話に混入したようである。

街でアンドロイド試運転

センベイは、この子を行きつけの喫茶店に連れていく。

以下の視線三角関係にご注目。

これがアンドロイドだと見抜けるかな?ふひひ(赤の両矢印)顔をしている。

彼とはざっくばらんな仲らしい、このお姉さんは、この子が彼の妹だと言われて「にてないじゃないのよかったわねえ」と大ボケを放った後、直接話しかける。

冒頭のがキャッチボールの笑いだとするならば…

ここは中継プレーの笑い。

旋風Z

人間チェック・テストを終えたメガネ姫は、扉の向こう側におそるおそる足を踏み出して…

左右反転Zにそって駆け出すと…

キキーッ ドカン!

この最終コマ、鳥山はどういう意図で描いたのか、分かるだろうか?

アラレの人間デビューが成功して、ほっとしたところに、この大事故が起きてしまった、つまり彼女は人間ではないとばれてしまう…

そうですこの最終コマで、作者さんは…

結局失敗作でした、センベイのあほーあほーだひゃひゃひゃひゃ!

…と読者の皆さんに大爆笑してもらいたかったのである。

鳥山の目論見、鳥嶋の異議

この「…………」に注目! これは<せっかくうまくいったと思ったのに、結局アンドロイドだとばれちゃったよ、わしはドクタースランプだわ>と彼が思っている様。

鳥山先生にとっては、彼こそが主役で、その天才的なアホ科学者ぶりを見せつけるためのアイテムとして、この女の子を出したのだ。