『マダム・ウェブ』ダコタ・ジョンソン『マダム・ウェブ』ダコタ・ジョンソン photo: Tinseltown / Shutterstock.com

最悪の作品や演技を「表彰」するユニークな賞として知られるゴールデンラズベリー賞、通称、ラジー賞の第45回の結果が発表された。

今年のラジー賞では、単なる低予算のB級映画ではなく、大きな期待を背負ったハリウッドの大作映画や、有名な監督が手掛けた作品が多く批判の対象となった。

マーベル作品である『マダム・ウェブ』は、スーパーヒーロー映画として一定のファンがいるにもかかわらず、「ストーリーが平凡で、キャラクターの魅力が欠けている」と酷評された。また、アメコミ映画としての革新性も乏しく、「このジャンルの行き詰まりを象徴する作品」との声もある。

さらに、巨匠フランシス・フォード・コッポラ(『ゴッドファーザー』『地獄の黙示録』の監督)が、自身の長年の夢を実現させた『メガロポリス』が最低監督賞を受賞した。この映画は、「壮大なビジョンを持っていたが、ストーリーや映像演出がまとまりを欠いた」と評され、コッポラ監督の名声にも傷をつける結果となった。

また、前作が高い評価を受けた『ジョーカー』の続編『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』もワーストのリメイク・続編作品として選ばれた。これは、「前作の成功に頼りすぎ、新たなアイデアや驚きが不足していた」と指摘され、単なる続編ビジネスに陥ったことが批判された。

これらの結果をみると、単に「つまらない映画」が選ばれたのではなく、大手スタジオがリスクを避け、定型的な作品を作りすぎたことが問題視されたと言える。映画業界においては、「安全な道を選ぶだけでは、かえって観客の失望を招く」という教訓が浮き彫りになった。より大胆で独創的な映画作りが求められる時代になってきたとも言える。

 

2025年(第45回)ラジー賞 受賞結果

最低作品賞: 『マダム・ウェブ』

最低主演男優賞: ジェリー・サインフェルド(『アンフロステッド:ポップタルトをめぐる物語』)