鯉がたくさんいてもパンに反応しないと意味がないので、まずはパンの白身部分を撒いて様子見。少し練って沈められるようにしたモノと水面に浮かせたモノの二通りで鯉の反応を伺いました。早速浮いているパンに反応を示したため、楽勝だと思い仕掛けを入れるもその仕掛けのパンにだけ反応しない鯉たち……。ラインの存在に気付いているのか、それとも筆者の気配を感じて食べないのか。

原因が分からず撒きパンにだけ反応し続ける事30分弱。このままではどうにもならないと感じ、気配が悟られにくい遠投での勝負に切り替えました。一人釣行だったため写真は撮れていませんが、姿勢も狙撃手のような感じで釣り竿を構えて鯉たちの当たりを待つことに。

フルドラグで奮闘

少しばかり流れもある中ゆっくりとパンを流し、鯉の鼻先へ仕掛けを送り反応伺い。水面での捕食は慣れていないのか、何度も食いきれないもどかしい展開が続き、ようやっとパンが吸い込まれ一気にフッキング。

ようやっと掛かったと思うも、すんなりとは寄らないのが鯉。水中を駆け巡りロッドに伝わるその力は重戦車を思わせるかのような引き。負けじとこちらもドラグをフルに締めパワーで対抗。久々の大物との戦いは実に楽しいモノでした。

秘儀 「穂先外し」

そのまま引きを楽しむこと約15分。ここで思わぬアクシデントが発生。取り込もうとした場所がアシに邪魔され取り込めない事態に。この日は鯉釣りで大事なランディングネットを忘れてしまったためズル引きもできない……。無理を承知で、筆者はある技で鯉をリリースすることに。

身近な水路で楽しめる大物釣り【パン鯉】を満喫 フルドラグでパワー勝負を制す釣り場の様子(提供:TSURINEWSライター泉陽登)

まず鯉を疲れさせるために空気を吸わせ足元へ誘導。こちらに寄って来るようにリールのラインを巻けるだけ巻き、ロッドをフックの先端部分に近づけさせます。そしてトップガイドがフックに触れたことを確認したらロッドを前方へ押し出しフックを外す。大物が掛り素早くリリースする際に用いる穂先外しです。ただしこの技は「フックが飲み込まれていない」、「バーブレス」の2条件を満たしていないとできません。また鯉が暴れたら最悪穂先が折れる危険性も。筆者は幸いにもまだ折られたことがありませんが、この方法を用いる際は鯉を十分に疲れさせるなど、条件が多い技になります。