少なくない割合の自民党の国会議員は、今回の総裁選に際し、恐らく私同様に、「国民は、刷新感を求めており、その観点からは、小泉氏や小林氏のような、若いながらも演説がしっかりしていたり(小泉氏)、政策通であったり(小林氏)、そうした新しい候補を求めるのではないか」ということで、小泉氏や小林氏への支持を決めたものと思われる。実際、最後まで総裁選出馬を模索していた野田聖子氏、齋藤健氏などは、小泉陣営に加わった。

が、実は、その目線を意識したはずの「国民」と「党員」とは、実は意識が大分違っていたということが選挙戦を通じてはっきりしてきた。つまり、高齢で男性の多い保守的な自民「党員」たちは、あまり小泉氏や小林氏、ということにはならなかったのである。

報道に出ている話の鵜吞みではあるが、伝え聞くところでは日本会議のような保守勢力、また、石丸陣営をサポートしていた維新系の勢力などが、自民党の「党員」に響くようにと、それぞれ旧来的ドブ板戦、ネット版ドブ板戦を展開した結果、高市氏にかなりの支持が集まるようになったと言われている。

一昔前であれば、しっかりした思想信条に基づく国会議員たちは、党員たちの傾向を無視はしないまでも、それ以上に自分の考えに基づいて投票していたものが、最近の国会議員たちは、地元の議員や支持者たちの傾向を、以前にも増して無視できないようになってきている。しかも先述のとおり、支持者たちが高齢化していることから、一層「力」を有していることもあり、より一層、「党員」の傾向の影響を受けるようになっている。

そんな背景から、地域(都市部中心とされる)における高市票の伸びがあり、それを横目に見ていた態度未定の国会議員たちも、本来であれば、小泉氏や小林氏に入れそうなものであるが、最後、特に高市氏に入れ、また、一部は、元々地域での票が盤石な石破氏に流れたように思われる。

3. 自民党員になろう!