— 玉木雄一郎(国民民主党代表) (@tamakiyuichiro) October 24, 2024

これは「中期的に成長で財源をまかなう」と答えたトラスと似たようなものだが、こっちは恒久減税なので、一時的な自然増収でまかなうことはできない。このとき私は概算で減税額を4兆円と計算したが、Claudeの計算では7.5兆円。これは政府の試算に近い。

この他にも国民民主は消費税の5%減税(12兆円)とガソリン減税(1.5兆円)を提案しているので、合計20兆円以上の超大型減税になる。これでは現役世代の最大の負担である社会保険料の軽減の財源もなくなってしまう。

インフレ税で減税はすべてキャンセルされる

20兆円の財政赤字は、トラス減税の4倍である。昨年度の新発国債の発行額は35兆円だから、もし20兆円の国債が増発されたらこれが1.6倍になる。実際に発行されなくても、首相がそういう計画を発表しただけで、ただちに外資系ファンドが日本国債を売り、長期金利は5%を超えるだろう。

すでに外為市場は「玉木減税」を織り込んで、1ドル=153円と円安になっている。2022年のポンドと同じく2割安になるとすれば180円ぐらいになるが、「玉木減税」のほうがはるかに大きいので、200円ぐらいまで下がってもおかしくない。

イギリスと同じく株安・債券安・円安のトリプル安が起こると、止めるには大規模な為替介入が必要だが、財務省は(イギリス大蔵省のように)緊縮財政を敵視する玉木首相には協力せず、彼が辞任するまで静観するかもしれない。

これによって輸入インフレが起こり、金利がさらに上がる。長期金利が3%を超えると日銀が債務超過になり、市中銀行も債務超過に陥る。これを支援する日銀が債務超過だと、各地の地方銀行で取り付けが起こり、1998年のような金融危機が起こる可能性がある。

円安で外資系ファンドが国債の空売りをかけると、それがさらに国債の暴落をまねいて円安をまねくスパイラルになり、5%以上のインフレが起こる。長期的にはインフレで名目所得が増えて増税になり、減税をすべてキャンセルして終わるだろう。これがインフレ税で、実質所得は下がる。