地方創生とは別件だが、達成した金額や件数で圧倒的に目立のが「ふるさと納税」である。
2022年では5184万件で9654億円が動いた。ただし、このような数字はまだ「地方創生」の全面には出てきていない。
おわりに
将来世代のための「発言」
地方創生10年の『総括文書』を受けて、近未来の日本では内政の筆頭課題として「地方創生」がますます重要になると私たちは判断して、初代の担当大臣であった石破茂氏に再びそれを担ってもらいたいと考えた。
我が国の近未来のためには、その他内政外交ともに重要な政策は山積していることは承知している。環境、少子化、高齢化、人口減少、経済発展、世界平和、アジアの緊張緩和などどれも大きな問題であるが、10年間やってきた「地方創生」が「必要である」というような「総括」しか出せなかったことを反省して、政治はまずこれを優先してほしい。
この短い論考は、子どもや孫が生きる日本の未来を考えるとき、現状を正しく認識して分析した結果、国家の政策にたいして「地方創生」優先の側からの意見具申である。
今回の私たちの発言はそのような趣旨として理解していただければ幸いである。
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注1)私(金子)もまたそれまでのコミュニティ研究の成果を活かした関連書を上梓した(金子、2016)。また特に「まち、ひと、しごと」のうち、「しごと」に関連する経済社会学的な内容を含めた共著論文を発表した(濱田・金子、2017a;2017b;2021)。
注2)『中央公論』(第138巻第2号 2024年2月号)では、「『地方消滅』増田レポートから10年」と銘打って、増田と三村とによる「今が未来を選択できるラストチャンス」、編集部による「『消滅可能性都市896』の衝撃」、そして「緊急提言『人口ビジョン2100』」などが掲載されたが、これらの影響力は10年前の衝撃にははるかに及ばなかった。
注3)日本の高齢化の「現状と対策」については、金子(2014)に詳しい。