先日垂水漁港に釣りに行ったときに、港の日陰で、船の免許を取ろうとしている二人の会話にちょろっと混じらせてもらった。釣り人が釣り人以外と話す機会は、意外にそんなにない。「この季節はちりめんやね」という話から、お金の話まで聞かせてもらった。なんでもないような雑談も気持ちいいものだ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
真夏、海辺の雑談
夏の海辺では、いろんな声が聞こえる。若者たちが発する嬌声、あるいは露骨な性的表現語句まで、まったく聞いていて「フフッ」と笑ったり苛立ったりするが、まあ…何を喋ろうと自由である。おばさんたちが海辺でスーパーの野菜の話をしていても、別に私は「海だぞココ!」とキレる者ではない。消波ブロックで釣りをしているカップルの、ふと見つめあった瞬間のバードキス。うん、イカしてるね。「出ていけ!」と怒鳴るおっさんと、「なんじゃ!」と応戦するおっさん。海辺の人の姿は美しいものだ。
そんな中、先日、垂水漁港の日陰でタックルの準備をしていると、いつからか隣にいた二人の会話が聞こえてきた。ちょっと盗み聞きするみたいにしていると、どうやら船の免許を取ろうとしているおじさんと若者である。あるいはインストラクター的な人だろうか?
「ちりめんの箱そこいっぱいやね」と指差して言っているところから、我慢しきれなくなって、「この時期はちりめんなんですか?」とおもむろに会話に参加させてもらった。
「今はちりめんやね」
「そうそう、今はちりめんよ」とおじさんの方がニコニコと答えてくれる。いかにも人の好さそうな方だ。仲間の若い方は、今風の細身の青年で、デザインパーマをかけている。なんとも好対照なお二人。
「この時期はずっとちりめんでね、ほら、地面のところ、白くなってるでしょ」
「これ、足で踏むと滑るし、本当に永遠に臭いがとれないんです」
「そうそう、その時期だけで靴は使い捨てるよね。ぬるぬるになって滑るから」