まるでボールのように丸くなる不思議な藻「マリモ」。観光資材としても重要な存在ですが、いま多くの場所でその生息が危機に陥っています。

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阿寒湖の「マリモ」が絶滅の危機 理由は湖底が転がりづらくなってきたから?

球体をなす藻『マリモ』

北海道の人気観光地・阿寒湖。火山の力で生まれた淡水湖で、深いところでは40m以上の水深があります。この湖には一風変わった生物が生息していることが知られています。

阿寒湖の「マリモ」が絶滅の危機 理由は湖底が転がりづらくなってきたから?阿寒湖(提供:PhotoAC)

その生物とはマリモ。漢字で書くと「毬藻」で、まさに毬やボールのようなきれいな球体をなす藻であることから名付けられました。この球体は一つの個体が作るものではなく、多数の個体が集合して作る「群体」と呼ばれるものです。

マリモにはいくつかの種類があることが確認されていますが、阿寒湖に生息するものが一番最初に見つかったもので、標準和名もそのまま「マリモ」となっています。マリモは世界中に生息していますが、きれいな球体が見られる場所は多くはなく、球体マリモの群生地は阿寒湖のみとなっています。

阿寒湖のマリモが特別な理由

そんな「阿寒湖の象徴」とも言える球体マリモ。大きなものでは直径が30cmにも及ぶと言われ、ここまで大きいとまるで人の頭のようです。

阿寒湖のものだけがこれほど大きく、またきれいに丸くなるのにはいくつかの理由があります。まずマリモは低水温で水質の良い場所に生息しますが、北海道の火山湖である阿寒湖はその条件にピッタリ当てはまります。

阿寒湖の「マリモ」が絶滅の危機 理由は湖底が転がりづらくなってきたから?阿寒湖のマリモ(提供:PhotoAC)

マリモは群体を形成し大きくなっていく中で、球体内部の個体は光を得ることができず、光合成ができないので枯れていきます。そのため徐々に内部が空洞になり、やがて崩壊してしまうのですが、阿寒湖のマリモは植物プランクトンであるシアノバクテリアと共生しており、それらが出す粘着物質のために崩壊しにくいのだそうです。

さらに、阿寒湖は風が強く、水中が度々強風でかき混ぜられます。それによって湖底のマリモたちが転がり、表面の付着物を落とすため、成長し続けることができるのだそうです。

阿寒湖のマリモは絶滅の危機