前半7分の失点以降、湘南は髙橋、DFキム・ミンテ、MF鈴木淳之介の3バックを起点にショートパスを繋ぐ。丁寧なパスワークで名古屋の守備ブロックを崩そうとしたが、この日は攻撃配置が悪かったため実を結ばなかった。

この日の湘南に足りなかったのは、ボール保持者に最も近い相手選手の斜め後ろに立ち、パスコースを作る作業だ。たとえば、湘南センターバック髙橋が名古屋FW山岸と対峙した際に、山岸の斜め後ろに湘南の他の選手が立つ。キム・ミンテにユンカー、鈴木淳之介に森島が寄せた場合も同様の立ち位置(図1と図2)で名古屋のプレスを掻い潜ることは可能だったが、この試合では中盤の底を務める田中聡、及び茨田とMF池田昌生の2インサイドハーフによるこのポジショニングがあまり見られず。ゆえにセンターバックからタッチライン際に立つウイングバックへのパスが多くなり、名古屋陣営としては守備の的を絞りやすかった。

(図2)ボール保持者に対峙している相手選手の立ち位置しだいで、湘南の選手が立つべき場所も微妙に変わる

右ウイングバック鈴木雄斗がボールを保持した際も、同選手と対峙した山岸や山中の斜め後ろに湘南の他の選手があまり立たなかったため、右サイドからの攻撃が鈴木雄斗による中・長距離パスに偏ってしまった感も否めない。猛暑による運動量や判断力の低下が一因かもしれないが、J1残留を争う19位サガン鳥栖との直接対決(8月31日の第29節)に向け、この問題も早急に改善したいところだ。