そしてサンゴ礁そのものにも大きな影響を与えるおそれがあります。ハナミノカサゴが藻類食性の魚を食べてしまうと、サンゴに生える藻類の大量発生によってサンゴが藻類に被われてしまう可能性があるのです。

藻類を好んで食べる魚により藻類の大発生を抑えられてきたのですが、藻類食の魚がハナミノカサゴに捕食され減少、それによりサンゴの生育に悪影響をおよぼすことが危惧されます。

魚食性の『ハナミノカサゴ』のせいで大西洋のサンゴがピンチに陥る意外なワケとは?西大西洋産の熱帯魚にとってサンゴ礁の破壊は脅威(撮影:椎名まさと)

もともと大きく壊されてきた同海域のサンゴ礁域で、サンゴの生育に悪影響が及ぶということになれば、同海域のサンゴ礁が壊滅するおそれもあるわけです。サンゴ礁のコミュニティはバランスが保たれて成り立っていたのですが、ハナミノカサゴがやってきてそのバランスが崩れてしまいました。

ダイバーにリスク

また、ハナミノカサゴが移入されたカリブ海というのはダイビングなど、マリンレジャーが人気の海域ではありますが、お客さんがハナミノカサゴに刺されてしまう可能性もあります。実際にバハマのナッソーなどではハナミノカサゴに注意するよう看板が出されているようです。

カリブ海から西大西洋地域のハナミノカサゴの出現は飼育個体に由来するのは確かなようですが諸説あり、ハリケーンの際にハナミノカサゴを飼育していた水族館が損壊しそこから逃げ出したとか、飼育しきれなかったアクアリストが海に逃がしたとかいわれています。

ミノカサゴ属の魚は(ほぼ)すべての種が観賞魚として飼育されていますが、ミノカサゴに限らず飼育していた魚を海に逃がすようなことは絶対にやめましょう。

参考文献

Morris James (Jr.)(ed.) 2012. Invasive Lionfish: A Guide to Control and Management.
Gulf and Caribbean Fisheries Institute, Inc. Florida.113 pp.