日本産の近縁種としては、族・属の標準和名にもなっているミノカサゴという種がよく似ています。見分け方としてはハナミノカサゴは背鰭および臀鰭の軟条部と尾鰭に黒色点が多数散らばっていますがミノカサゴではこの黒色点がないかあっても少ないこと、ハナミノカサゴでは胸部に模様があるのにミノカサゴでは模様がないことなどで容易に見分けられます。

このほか、海外に分布するハナミノカサゴに極めてよく似ているものに?Pterois miles?というのがいます。この種は基本的にインド洋産の種であり、日本近海と東インドー太平洋にいるのはハナミノカサゴのほうになりますが、外見からの種の識別は難しいです。

ハナミノカサゴを食する

ハナミノカサゴをはじめ、ミノカサゴ属の魚は食用としても用いられます。四国においては「きみ」または「きみおこぜ」という名前で販売されていることもありますが、標準和名でキミオコゼという種もいますので注意が必要です。

キミオコゼは四国以南で見られますが、四国では数が少なく食用としてはほとんど流通していません。四国で水揚げされ食用となっているのはみなミノカサゴまたはハナミノカサゴです。

魚食性の『ハナミノカサゴ』のせいで大西洋のサンゴがピンチに陥る意外なワケとは?捌く前に鰭を除去したハナミノカサゴ(撮影:椎名まさと)

身は焼き物や揚げ物などにして美味しいのですが、調理するときに有毒である鰭棘に刺されないように注意する必要があります。お店によっては鰭の棘をあらかじめ切って販売しているところもあります。

ハナミノカサゴの引き起こす問題

ハナミノカサゴは日本近海をふくむ東インド洋~太平洋に生息していますが、現在はアメリカ東海岸の西大西洋~カリブ海にも移入され生息。ハナミノカサゴは幅広い生息環境に適応しており、動物食性であるため魚などを捕食してしまうというわかりやすい影響が考えられます。

サンゴ礁に悪影響

また、ミノカサゴ以外の動物食性の魚、つまりはフエダイやハタ科の魚と餌が競合しています。例としてハタ科ユカタハタ属のコニーよりも著しく成長が早く、また消費する餌の量もはるかに多いとされます。