それでも非現実的なケースを想定し、たとえば(長期金利がゼロで付利が5%になり)5%の逆鞘が10年続くと日銀のキャッシュも払底するが、その場合には日銀券を印刷すればいいので、デフォルトにはならない。ハイパーインフレを防ぐには、政府が資本増強すればいい。
こういうリスクはきわめて小さいが、ゼロではない。それが金融システムの不安定をまねくおそれがあるので、黒田総裁が世界にばらまいた過剰流動性を植田総裁はゆるやかに回収し、ソフトランディングしようとしている。それがQTで国債を減額する理由である。
この軟着陸をさまたげているのが、藤巻さんのように「日銀が破綻する」とか「ハイパーインフレになる」とか騒ぐ人(最近はごく少数)だ。日銀も財務のシミュレーションはしているらしいが、こういう騒ぎを恐れて数字を出さない。情報公開しろと騒ぐ前に、空騒ぎをやめるべきだ。