また、この試合ではセンターバック鈴木淳之介と左ウイングバック吉田の距離が開きすぎる、もしくは吉田が高い位置をとりきれない場面もちらほら。センターバックとウイングバック間へ茨田を降ろし、同選手に両者の繋ぎ役を担わせる場面をもっと増やしたほうが、湘南の遅攻が安定するはずだ。


池田昌生 写真:Getty Images

後半に痛恨の2失点

湘南は後半開始直後もボールを支配。柏ゴールに迫ったが、一瞬生じた守備の綻びを突かれてしまった。

後半8分、柏GK松本健太からDF古賀太陽、古賀からセンターサークル付近に立っていた小屋松の順でパスが繋がる。小屋松からボールを受けたサヴィオが湘南最終ラインの背後へラストパスを送ると、これに反応した細谷がペナルティエリア内で強烈なシュートを放ち、先制ゴールを挙げた。

ここでは湘南の守備隊形が[5-1-4]に近い配置となっており、インサイドハーフ池田の斜め後ろを小屋松に突かれてしまっている。これに加え田中のボールサイドへの寄せも遅れたため、小屋松を捕捉しきれず。相手GKがボールを保持した際に、ハイプレスを仕掛けるのかそれとも[5-3-2]の布陣による撤退守備へ移行するのか。この判断がチーム全体として曖昧だった。

後半31分には、柏の自陣からのフリーキックへの守備が緩慢に。ゴール前にロングボールを送られたうえ、柏MF戸嶋祥郎にこぼれ球を回収されると、同選手の右サイドからのクロスに反応したFW木下康介に追加点を奪われた。

後半アディショナルタイム、途中出場の湘南FW根本凌のシュートがペナルティエリア内にいた柏DF犬飼智也の腕に当たり、これがハンドの反則と判定される。この反則で得たPKを、同じく途中出場のMF阿部浩之が物にしたものの、湘南の反撃もここまで。J1残留に向け手痛い黒星を喫した。