ハリスの政策展開の本質は、短縮された彼女の選挙運動の重要な課題を浮き彫りにした。それは、インフレが悪化しているという有権者の認識によって傷ついたバイデン政権から距離を置くことと、パンデミック後の経済を活性化させ、労働者階級に多くの長期的な利益をもたらすことに概ね成功したバイデン政策を維持し、さらに発展させることだ。・・『ワシントンポスト』の編集委員会はハリスの計画を「時代は真剣な経済政策を求めている。ハリスは小細工を提供しているだけだ」と痛烈に批判した。

反トランプの急先鋒『ワシントンポスト』に痛烈批判されてはハリスも形無しだ。筆者は7月27日の拙稿「スタッフの92%がこの3年間で退職したハリスの人望と政策」でこうも書いた。

スタッフの92%がこの3年間で退職したハリスの人望と政策
秘書やスタッフの離職率の高さは政治家の人望を測るバローメータの一つだ。自民党総裁候補の某幹事長や某デジタル相なども、そのせいか実績の割に人気がない。バイデンがメモやプロンプターで4年近く隠蔽してきた老衰ぶりを先の討論会で露呈し、急遽民主党の...

候補を降りたバイデンが「核のボタン」を委ねられ続ける矛盾はあと半年間だが、それはまたハリス元来の左傾した主張が、バイデンのVPであり続ける彼女の言動に大きな制約をもたらす期間でもある。民主党の「エリート」が急拵えしたバイデン降ろし・ハリス擁立のこうした矛盾を、トランプが突かない訳がない。

つまり、これから投票日までの期間に、ハリスが如何にバイデン/ハリスが遂行した施策の都合の悪いところを取り繕おうとも、何れはインタビューでその変節を問われるだろうし、討論会でもトランプに攻撃されて、有権者の知るところとなる。それは先述の左翼的10項目も同様だ。付け焼刃は脆い。