無人島に漂着した男が独力でサバイバル生活に身を投じる…
そんな物語を描いたダニエル・デフォーの小説『ロビンソン・クルーソー』(1719)は、長きにわたり世界中で読み継がれている名作です。
しかし実は、このロビンソン・クルーソーにモデルとなった人物がいたことをご存知でしょうか。
その人物の名は、アレキサンダー・セルカーク(Alexander Selkirk)。
遭難者として無人島で4年と4カ月を一人で生き抜いたスコットランド人の水夫です。
セルカークはどうして無人島に漂着し、どのように生き延びたのでしょうか?
目次
- 海賊船に乗り、無人島に降り立つまで
- たった一人のサバイバル生活が始まる!
- 無人島生活が終わった日
海賊船に乗り、無人島に降り立つまで
アレキサンダー・セルカークは1676年、英国の最北端に位置するスコットランドのロウアー・ラルゴ村で、靴屋・製革業者の息子として生まれました。
セルカークはとにかく若い頃からケンカっ早く、粗野で乱暴な性格だったといいます。
そんな彼は1695年8月27日、19歳のときに、教会で無作法な態度を取ったかどで長老会議に呼ばれますが、そこには出頭せず、海に逃亡して船乗りとなりました。
セルカークが参加したのは南洋への海賊遠征であり、1703年にはイングランドの著名な海賊であるウィリアム・ダンピア(1651〜1715)の一味に加わっています。
ダンピアは世界周航を3回成し遂げた最初の人物として有名です。
ただセルカークはダンピアが船長をしていたセント・ジョージ号には乗り合わせず、その仲間であるシンク・ポーツ号の船長トーマス・ストラドリングのもとで航海長となりました。
ところが翌年の10月、ダンピアとストラドリングのいさかいが原因で、シンク・ポーツ号はセント・ジョージ号と袂を分かち、食料と水を補給するため、南米チリ沖に浮かぶ「ファン・フェルナンデス諸島」に停泊します。