川の中にワカメに似た植物を見ることがある。流れの弱いところでは白いあぶくがその植物に引っかかっていて、よく目立つ。実はこのワカメに似た植物は、「イシクラゲ」と呼ばれるものだ。非常に地味な生物ではあるが、夏休みの自由研究の課題にしてみてもよい。よく知ると、衝撃の事実が浮かび上がってくる。あらかじめ明かすと、実は――イシクラゲは「宇宙での食用が期待されている植物」なのだ。

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身近な自然で自由研究のススメ:どこにでも生えている「イシクラゲ」は宇宙食にもなる?

研究の題材「イシクラゲ」について

イシクラゲとは、本州中部から西に分布するネンジュモ族の「藍藻類」であり、細胞核や葉緑体を持たずに単細胞生物が糸のように集まって群体を作る、少々変わった植物である。雨が降ると校庭にぶわっと湧くことがある。湧く場所によっては、憎き駆除の対象となったりもする。非常に生命力・繁殖力が高く、陸にも棲む。ほんの少しの水分で容積が何倍にも膨らんでしまい、ワカメのような外見をとる。

身近な自然で自由研究のススメ:どこにでも生えている「イシクラゲ」は宇宙食にもなる?乾燥したイシクラゲ(提供:PhotoAC)

そして――驚くことにこのイシクラゲは、食用にも適する。昔から日本・中国・台湾など東アジアで食べられてきた。滋賀県の姉川流域においては、今でもイシクラゲを食べる習慣がある。ここでは「姉川クラゲ」と呼ばれ、天ぷらや酢の物、あるいは味噌汁の具として、幅広く利用されてきた歴史を持つ。

何気なく目にするか、見もせずスルーしている植物だが、なんと宇宙開発の研究者からも目をつけられている。生命力が高く、容易に繁殖させられることから、宇宙での食用性の高さでは随一に躍り出る。

「イシクラゲ」を研究してみよう

ともあれ、なんとも身近に、「究極性能」を持つ植物がいるものだ。イシクラゲ、ぜひ、とっつかまえて自由研究の題材にしてみてはどうだろう?川でとってくるのも、陸からむしってくるのも自由である。

まずは、「イシクラゲ」を目で見てみよう。乾いた状態からなら、水をはったボウルに入れて膨らませてやるといい。まさしく干しワカメのようにぶわぶわと膨らんで、見た目にもワカメっぽくなる。こいつの正体そのものは、これで突き止めたといってもいい。しかし、注目すべきポイントは他にもある。

身近な自然で自由研究のススメ:どこにでも生えている「イシクラゲ」は宇宙食にもなる?ワカメや藻と似た植物(提供:TSURINEWSライター井上海生)