臭いさえ気にならなければ、アイゴは本当に美味しい魚。身はよく締まっていてシコシコとした歯ごたえがあり、噛みしめると脂がじゅわっと染み出してきます。刺身はもちろん、素揚げにして身をむしりながら食べるポリネシアンスタイルでも絶品です。

そして個人的には、我々日本人は今よりもっとアイゴを食べるべきであると考えています。なぜならいま、アイゴが「磯焼け」の一因となっているからです。

磯臭いと嫌われがちなサカナ『アイゴ』は「皮」が美味しい ゼラチン豊富で食感も良し各地で増えているアイゴ(提供:PhotoAC)

日本の沿岸では、海洋温暖化と環境破壊により海藻が減少し、生態系に致命的な被害をもたらしています。そこにさらに、温暖化で増えたアイゴが残った海藻を貪り食べてしまうため、水中で砂漠化が起こっているのです。

みんなでアイゴの美味しさを知り、日常的に食べられるようになれば、漁業的価値が出るために漁師が狙って漁獲するモチベーションが生まれ、漁獲圧によって過剰気味の生息数を調整することができるようになるかもしれません。

今後、アイゴがスーパーの鮮魚売り場に並んでいるのを見かけたら、ぜひ一度トライして、その美味しさを味わってみてほしいと思います。

<脇本 哲朗/サカナ研究所>