そこで研究チームは今回、この謎の甲殻類の正体に決着をつけるべく、新たに調査を行いました。

新種と判明!「らんま」と命名した理由は?

本調査では、研究室で継代飼育されていた個体群を対象に、顕微鏡を用いた形態観察とDNA配列の解析を実施。

その結果、この謎の甲殻類は既知の種のいずれにも該当しない特徴を持つことから学術的に未記載の新種であると断定されたのです。

そこでチームは本種の新たな学名として「アプセウデス・ランマ(Apseudes ranma、和名:ランマアプセウデス)」と命名しました。

この名前は高橋留美子氏の漫画『らんま1/2』のキャラクターである「早乙女乱馬」に由来するといいます。

新種を「ランマ」と命名
新種を「ランマ」と命名 / Credit: 北海道大学 – 水族館の水槽から新種のタナイス目甲殻類を発見(2024:PDF)

その理由はアプセウデス・ランマが「雌雄同体(しゆうどうたい)」の特徴を持っていたことにあるという。

雌雄同体とは、一個体のうちにオスの生殖器官とメスの生殖器官の両方が存在する生物の特徴です。

『らんま1/2』を知っている方ならお分かりのとおり、早乙女乱馬は男性でありながら女性にもなるという稀有な能力を持っています。

乱馬は父親である玄馬と格闘の修行中に、中国の奥地にある呪われた泉に落ちたことで、水をかぶると女性になり、お湯をかぶると男性に戻るという体質になったのでした。

このように男女(雌雄)を兼ね備えている共通点から、原作者の高橋氏と作品の権利を持つ小学館に許可を得て、「ランマ」の学名を頂いたといいます。

水槽内の砂底にトンネルを掘っているランマ
水槽内の砂底にトンネルを掘っているランマ / Credit: 北海道大学 – 水族館の水槽から新種のタナイス目甲殻類を発見(2024:PDF)

また観察をする中で、ランマはハサミ型の脚の内側に、すり合わせて音を出す器官の「摩擦音器」と見られる構造を持っていることも明らかになりました。