敦賀原子力発電所2号機
7月26日、原子力規制庁は福井県に設置されている敦賀原子力発電所2号機((株)日本原子力発電、以下原電)に関して、原子力発電所の規制基準に適合しているとは認められないとする結論を審査会合でまとめた。
原子炉建屋の真下を走る破砕帯(断層を含む)が将来動く可能性を否定することは困難だとした。つまり、規制基準に不適合とした。
約12年かけての判断であるが、こうなることは最初から分かっていたと言い切ってよい。
なぜか? それは当初から規制当局は原電に「悪魔の証明」を強いていたからである——しかも露骨にイヤラシく。
悪魔の証明ー田中ドクトリン
悪魔の証明とは、〝ないこと〟を証明することであり、それはもともと不可能なのである。
たとえば、“ネッシー(ネス湖の恐竜)はいる”ことを証明するには実際にネッシーを発見すればそれで良い。ところが、“ネッシーはいない”ことを証明することは不可能である。どんなに探しても見つからないという証言に対して、探し方が悪いせいだと反論されればぐうの音も出ない—つまりいないことの証明はできないのである。
この敦賀2号機でいえば、その下を走る〝破砕帯が断層ではないこと〟および〝その破砕帯が断層とされたあかつきには近くの活断層の影響のもとに再び活断層として影響を及ぼさないこと〟を日本原電側はデータと論法でもって規制庁に証明しなければならない。
しかし、これは規制側が「可能性を否定することは困難だ」と持ち出す限り、果てしない論争の繰り返しになることは見え透いている。
私は、この問題が新聞紙上やニュースなどで社会問題化した2013年当時、敦賀の破砕帯現場を3回訪れた。