それは大統領候補がややこしい外交術を使ってくることがなく、しかし外交攻勢をかける余力がないレイムダック化したバイデン政権の残り任期の間になるべく強硬な手段を取ってしまっておきたい、という動機づけを共有している、ということでもある。ヨーロッパと中東の深刻な戦争で、事態を好転させることができないアメリカの友好国が、見切り発車の強硬手段を取りやすい環境にあるのだ。

そのアメリカにしても、ヨーロッパでも中東でも、事態の打開の糸口を見出すことができないまま、ただロシアに対して、イランに対して、弱みを見せないように強硬な態度を取り続けたい、という動機づけを持っているだけだ。そもそも非常に苦しい立場にある。

バイデン政権の残り任期は、まだ5カ月ほどある。大統領選挙まで先が見通せない不透明期間だけでもまだ3カ月以上ある。国際情勢が流動化しやすい非常に不安定かつ危険な時期だと言えるだろう。