SBI証券はiDeCo(イデコ)に力を入れている金融機関の一つだ。SBI証券のiDeCoでは、セレクトプランとオリジナルプランから選択する必要がある。それぞれのプランの違いや、プランごとのおすすめ投資信託を4本ずつ紹介する。
目次
1.SBI証券のiDeCo、3つのメリット
2.セレクトプランとオリジナルプランの違い
3.セレクトプランとオリジナルプラン、どちらを選ぶべきか
4.セレクトプランのおすすめ投資信託4選
5.オリジナルプランのおすすめ投資信託4選
6.SBI証券のプラン変更は自由に行える
1.SBI証券のiDeCo(イデコ)、3つのメリット
SBI証券は2005年から個人型確定拠出年金制度であるiDeCoの提供を続けており、iDeCo口座数は30万口座を超えている(2019年9月末時点)。同時期のiDeCo口座数が140万口座弱なので、口座数シェアでは2割超を獲得していることになる。SBI証券の調べでは、この数字はiDeCo取扱金融機関の中でNo.1だ。
メリット1……2つのプランから選択でき商品選択の幅が広い
他社にはないSBI証券の大きな特徴は、セレクトプランとオリジナルプランという2つのプランを選択できることだ。
iDeCoでは、加入者が商品選択に迷わないよう、35本以下の商品から選択できるようにプランを提示しなければならないという規定がある。しかしSBI証券では、加入者の商品選択の多様性を尊重するという目的で、セレクトプランとオリジナルプランという2つのプランを用意し、それぞれ35本程度の商品をラインアップしている。
iDeCo加入者は、最初にセレクトプランとオリジナルプランを選択する必要があるものの、商品選択の幅は他の金融機関と比べて多く、それがSBI証券ならではのメリットになっている。
メリット2……iDeCo(イデコ)の運営管理手数料が無料
SBI証券には、コスト面においてもメリットがある。iDeCoの取扱金融機関へ支払う運営管理手数料が無料なのだ。国民年金基金連合会や事務委託先金融機関への手数料は発生するものの、これは他の金融機関でも同様であり、コスト面でもSBI証券が優れていることがわかる。
メリット3……充実したサポート体制
SBI証券は、iDeCoにおいて充実したサポート体制を敷いており、ソフト面におけるメリットもある。
iDeCoのサポートダイヤルは平日だけでなく土日も営業をしているため、平日に時間が取れない人でも安心だ。また、スマートフォンでiDeCo資産の確認やスイッチングなどを行えるため、気軽にiDeCoを管理することができる。
2.SBI証券のiDeCo(イデコ)のセレクトプランとオリジナルプランの違い
SBI証券でiDeCoを始める場合、セレクトプランとオリジナルプランという2つのプランから、自身に合ったプランを選択する必要がある。まずはそれぞれのプランの違いを見ていこう。
SBI証券のiDeCo(イデコ)の2プランの違いは商品ラインアップのみ
SBI証券のiDeCoセレクトプランとオリジナルプランの違いは「商品ラインアップ」の1点のみである。それ以外の制度や使い勝手に関しては、両プランでの違いはない。
2つのプランがある理由は、2018年5月にiDeCoの商品ラインアップを35本以下とするよう規定する法律が施行されたからだ。SBI証券は法律に対応しつつ、選択の幅を持たせるために2つのプランを用意したのである。
SBI証券のiDeCo(イデコ)のセレクトプランとオリジナルプランの商品ラインアップを比較
それぞれのプランについて、商品分類別に取り扱い本数を見てみる。個別銘柄は、SBI証券のホームページで確認してほしい。
商品分類別の取扱本数 | ||
---|---|---|
商品分類 | セレクトプラン | オリジナルプラン |
国内株式 | 6(4) | 9(5) |
先進国株式 | 8(3) | 9(4) |
新興国株式 | 2(1) | 2 |
全世界株式 | 4(1) | 0 |
国内債券 | 1 | 1 |
先進国債券 | 3(1) | 1 |
新興国債券 | 1 | 1 |
国内REIT | 1 | 1 |
先進国REIT | 1 | 1 |
バランスファンド | 4(3) | 7(2) |
コモディティ | 1 | 1 |
ターゲットイヤー | 4 | 4 |
元本確保型 | 1 | 1 |
合計 | 37(13) | 38(11) |
※カッコ内はアクティブファンドの本数(内数)、2020年7月21日時点 |
SBI証券のセレクトプランには37本(うちアクティブファンド13本)、オリジナルプランでは38本(同11本)もの商品がある。 セレクトプランに4本ある全世界株式型の商品がオリジナルプランにはないなど、細かい違いはあるが、両プランともに様々な資産へ投資できるように構成されている。
セレクトプラン、オリジナルプランともに商品本数が35本を超えているが、ターゲットイヤー型はシリーズをまとめて1本とカウントされるため、実際にはセレクトプランが34本、オリジナルプランが35本と規定内に収まっている。
SBI証券のiDeCo(イデコ)のセレクトプランでは「低コスト」の商品が多い
セレクトプランは、2018年11月から導入されたプランである。特徴は、「低コスト」にこだわった商品が多いことだ。コストの低いiDeCo対象商品を集めて、コスト志向の高い投資家の需要に対応する姿勢だ。結果として、人気の高い商品が多くラインアップされている。
セレクトプランのもう一つの特徴は、全世界株式型の投資信託が4本もラインアップしていることだ。オリジナルプランには、全世界株式型の商品はない。全世界株式型が1つの商品で世界中の株式に投資できると人気を集めていることに対応したものだろう。
SBI証券のオリジナルプランは、iDeCoが始まった2005年から提供されている。商品数の上限が設定されたことにより、コストや運用実績などを総合的に鑑みて、確定拠出年金向けの専用ファンドを中心とした構成に見直されている。
オリジナルプランの特徴は、バランスファンドの多さだろう。その本数は7本とセレクトプランを上回っており、リスク許容度に応じた商品選択ができるように、株式への投資比率の異なる商品を多数ラインアップしている。
また、国内株式型においては、JPX日経400やTOPIX100といった指標をベンチマークとするインデックスファンドを用意している点も、オリジナルプランの特徴だ。
3.SBI証券のiDeCo(イデコ)のセレクトプランとオリジナルプラン、どっちを選ぶべきか
セレクトプランとオリジナルプラン、どちらを選ぶのがいいのだろうか。
これからSBI証券でiDeCo(イデコ)を始める人は「セレクトプラン」
基本的にSBI証券でこれからiDeCoを始める人は、セレクトプランを前提に考えるといいだろう。
セレクトプランとオリジナルプランは商品の種類が異なるが、投資対象については大きな差はない。そのため、コスト面で優れた商品が多いセレクトプランを選択すべきであるというのが大きな理由だ。
例えば、日経平均株価に投資するインデックスファンドとして、セレクトプランでは「ニッセイ日経平均インデックスファンド」、オリジナルプランでは「DCニッセイ日経225インデックスファンドA」が用意されている。これらの投資信託は、同じ運用会社が同じマザーファンドへ投資しているにも関わらず、信託報酬率が前者は0.154%(税込)、後者は0.1859%(税込)と異なっている。したがって、セレクトプランを選択したほうが有利になる。
このように同じ投資対象で比べた場合、セレクトプランのほうがコストに拘った商品が多い。特段の理由がない場合は、セレクトプランを選択したい。
また、全世界株式型への投資を検討している場合も、セレクトプランを選択する必要がある。
商品選びに時間をかけたくない人はバランスファンドが多い「オリジナルプラン」
一方であまり商品選択に頭を悩ませたくない人は、オリジナルプランを選択するといいだろう。オリジナルプランはセレクトプランと比べて、バランス型ファンドが充実している。リスク許容度に応じた商品選択ができるバランス型ファンドもあるため、商品選択にかかる手間を極力減らしたい人は、オリジナルプランも一考の価値があるだろう。
4.SBI証券のiDeCo(イデコ)セレクトプランのおすすめ投資信託4選
セレクトプランでのおすすめを国内株式型、海外株式型、債券型、バランス型に分け、それぞれの資産クラスから1本ずつ紹介する。
国内株式型……「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」
運用会社……三菱UFJ国際投信
運用方法……インデックス型
基準価額……1万1,021円
純資産総額……196.66億円
信託報酬……0.154%(税込)
※2020年7月21日時点
国内株式では日経平均株価やTOPIXなどのベンチマークがあるが、分散効果を考えて、投資銘柄数が多いTOPIXをベンチマークとする投資信託をおすすめしたい。国内株式は情報を得やすく、iDeCoでも運用の基本となる資産クラスである。信託報酬が0.154%と非常に低く抑えられている点も、重要なポイントだ。
海外株式型……「SBI・全世界株式インデックス・ファンド」
運用会社……SBIアセットマネジメント
運用方法……インデックス型
基準価額……1万733円
純資産総額……81.89億円
信託報酬……0.1102%程度(税込)
※2020年7月21日時点
海外株式型では、全世界の株式市場を投資対象とする商品に注目したい。大型株から小型株まで網羅しており、その投資対象は約8,000銘柄に及ぶ。信託報酬も非常に低く、低コストで全世界の株式に投資できる魅力的な商品だ。全世界株式型の商品はオリジナルプランにはないため、セレクトプランのメリットと言えるだろう。
債券型……「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」
運用会社……三菱UFJ国際投信
運用方法……インデックス型
基準価額……1万1,400円
純資産総額……121.17億円
信託報酬……0.154%(税込)
※2020年7月21日時点
日本を除く先進国の債券へ低コストで投資を行える。セレクトプランはオリジナルプランと比べ、バランスファンドのバリエーションが少ない。債券型の投資信託もポートフォリオに組み込みながら、リスクバランスの調整を行いたい。
バランス型……「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」
運用会社……三菱UFJ国際投信
運用方法……インデックス型
基準価額……1万873円
純資産総額……569.29億円
信託報酬……0.1540%(税込)
※2020年7月21日時点
国内外の株式・債券・ REIT(不動産)に、幅広く分散投資できる投資信託だ。それぞれの資産への配分は12.5%ずつ。この投資信託1本で各資産への分散投資が低コストでできるため、ポートフォリオの中心に据えてもいいだろう。
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5.SBI証券のiDeCo(イデコ)のオリジナルプランのおすすめ投資信託4選
セレクトプランと同様に国内株式型、海外株式型、債券型、バランス型に分け、それぞれの資産クラスからおすすめを1本ずつ紹介する。
国内株式型……「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスファンド」
運用会社……三井住友DSアセットマネジメント
運用方法……インデックス型
基準価額……2万5,025円
純資産総額……357.37億円
信託報酬……0.176%(税込)
※2020年7月21日時点
TOPIXをベンチマークとするインデックスファンドであり、信託報酬が低く抑えられている。オリジナルプランにある国内株式型インデックスファンドの中でも、投資対象と信託報酬のバランスが取れた投資信託だ。
海外株式型……「DCニッセイ外国株式インデックス」
運用会社……ニッセイアセットマネジメント
運用方法……インデックス型
基準価額……1万3,434円
純資産総額……375.22億円
信託報酬……0.154%(税込)
※2020年7月21日時点
オリジナルプランの海外株式型では、主要先進国の株式へ低コストで投資できる、この投資信託を主力に据えたい。マザーファンドは人気の高い「ニッセイ外国株式インデックスファンド」と共通であり、運用実績は疑う余地がないだろう。オリジナルプランには、全世界株式型のインデックスファンドがないため、分散効果を高めるならば新興国株式型と組み合わせる必要があることに注意しておきたい。
債券型……「野村外国債券インデックスファンド(確定拠出年金向け)」
運用会社……野村アセットマネジメント
運用方法……インデックス型
基準価額……1万9,465円
純資産総額……413.2億円
信託報酬……0.154%(税込)
※2020年7月21日時点
日本を除く先進国の債券に投資するインデックスファンドである。オリジナルプランでは先進国債券型はこの1本だが、コストが低く実績もある投資信託だ。ポートフォリオのリスクバランスの調整に活用したい。
バランス型……「DCインデックスバランス(株式60)」
運用会社……日興アセットマネジメント
運用方法……インデックス型
基準価額……2万2,393円
純資産総額……109.74億円
信託報酬……0.154%(税込)
※2020年7月21日時点
国内外の株式・債券に分散投資を行う投資信託だ。基本資産配分は株式60%、債券40%。コストが低く、ポートフォリオの中心に据えやすい投資信託だろう。関連ファンドとして、株式比率を80%に高めた「DCインデックスバランス(株式80)」や、株式比率を40%や20%に下げた「同(株式40)」、「同(株式20)」も揃う。リスク許容度に応じてバランスファンドの選択ができる点が、オリジナルプランの強みであろう。
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6.SBI証券のiDeCo(イデコ)のプラン変更は自由に行える
SBI証券のセレクトプランとオリジナルプランの変更は、いつでも手数料無料でできる。2018年10月31日以前からSBI証券でiDeCoを行っている人は、オリジナルプランに登録される。セレクトプランへの変更を希望する人は、手続きが必要だ。
SBI証券のiDeCo(イデコ)のプラン変更手順
SBI証券でiDeCoのプランを変更する場合、プラン変更届を書面で提出する必要がある。プラン変更届はSBI証券のiDeCoホームページから請求する。インターネット上の手続きだけでは、プランは変更できない。
SBI証券のiDeCo(イデコ)のプラン変更の注意点
SBI証券のiDeCoでは、セレクトプランとオリジナルプランを自由に変更できるが、以下の点に注意してほしい。
・プラン変更には時間がかかる
SBI証券のプラン変更は、毎月5日までにプラン変更届が受理された場合、翌月26日の掛金引き落としから新プランでの運用になる。書類の受理が6日以降になった場合、新プランでの運用は翌々月26日の掛金引き落としからだ。
・プラン変更が終わるまで運用できない
現在保有している資産は一旦すべて売却された後、2~3ヵ月後に新プランに移管される。iDeCoなので売却益には課税されないが、売却して現金化されている期間は運用が行われない。また、新しいプランで買い付けの指示が必要になるため、忘れずに行いたい。
・プラン変更に伴う資産の売却はSBI証券のタイミングで行われる
プラン変更に伴う売却は、SBI証券のタイミングで行われるため、価格が下がった時に売却される可能性がある。それを避けたい場合は、先にスイッチングで元本確保型商品に資産を移した上で、プランを変更することになる。
SBI証券のiDeCo(イデコ)のプランを変更すべきタイミング
では、プランの変更はどのようなタイミングで行うべきだろうか。プラン変更には時間がかかる上に、望むタイミングで売却できないため、なるべく相場が安定している時に行うべきだろう。
相場が大きく動いているタイミングでプランを変更すると、価格が下がったタイミングで売却し、その後の回復局面では現金化されていて運用が行われないという状況に陥る可能性もある。
前述のとおり、先にスイッチングで元本確保型商品に資産を移す方法もあるが、手間がかかる。また、現金化されている間は運用できないことは変わらない。SBI証券のiDeCoのプラン変更は、なるべく相場が安定している時に行うようにしたい。
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