iDeCo(イデコ)は2017年1月から原則的に20~60歳の全国民が加入できるようになり、順調に加入者数を伸ばしている。一方で、申し込み方法が分からず、加入に二の足を踏んでいる人も多いだろう。iDeCoの申し込み手続きと、iDeCoの投資先や金融機関の変更手続きについてまとめてみよう。
目次
1. iDeCo口座の申し込み手続きの流れ
2. 配分変更・スイッチングの手続きと注意点
3.金融機関の変更手続きはコストがかかる
1.iDeCo(イデコ)の申し込み手続きの流れ
iDeCoの申し込みは加入する金融機関を選択し、書類を提出すればよい。金融機関への書類の提出と聞くと面倒な印象を受けがちであるが、準備すべきものやポイントを押さえておけば決して難しくはない。
STEP1……iDeCo(イデコ)の申し込みに必要なものを準備する
iDeCoの申し込みに必要なものは次の通りである。
⑴個人型年金加入申出書
⑵印鑑(シャチハタ印不可)
⑶基礎年金番号
⑴については、iDeCoの申し込みを行う金融機関で入手できる。⑶の基礎年金番号は年金手帳に記載されている。会社員などは勤務先に年金手帳自体を預けている場合も多いので、勤務先に確認しよう。
それ以外に必要なのは以下である。職業や掛金の拠出方法によって異なるので、職業別に説明しよう。
⑷事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書
⑸第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組合員用)
⑹掛金引き落とし金融機関の口座情報と金融機関届出印
・iDeCo(イデコ)の申し込みに必要なもの——会社員の場合
会社員の場合は⑴~⑶に加え以下が必要になる。
⑷事業所登録申請書 兼 第2号加入者に係る事業主の証明書
⑹掛金引き落とし金融機関の口座情報と金融機関届出印
⑷はiDeCoの加入資格を勤務先に証明してもらうための書類で、金融機関から個人型年金加入申出書と合わせて入手できる。勤務先でも記入する箇所があるので、必要事項を記入したら勤務先へ依頼しよう。
⑹はiDeCoの掛金を個人の金融機関口座から引き落とす場合に必要だが、給料天引き(事業主払込)となる場合は不要である。口座引き落としに関しては一部のネット銀行や信託銀行、農林中央金庫などは対応していない場合もある。あらかじめiDeCoのホームページなどで確認しよう。
・iDeCo(イデコ)の申し込みに必要なもの——公務員など共済組合員の場合
公務員などの共済組合員の場合は⑴~⑶に加え以下が必要になる。
⑸第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組合員用)
⑹掛金引き落とし金融機関の口座情報と金融機関届出印
⑸は公務員などの共済組合員がiDeCoの加入資格を勤務先に証明してもらうための書類である。金融機関から個人型年金加入申出書と合わせて入手しよう。こちらも勤務先が記入する項目がある。
⑹は会社員同様、給料天引き(事業主払込)となる場合は不要である。
・iDeCo(イデコ)の申し込みに必要なもの——個人事業主、専業主婦(夫)の場合
個人事業主や専業主婦(夫)の場合は給与の天引き(事業主払込)ができないので、⑴~⑶に加えて以下が必須だ。勤務先の証明はもちろん不要である。
⑹掛金引き落とし金融機関の口座情報と金融機関届出印
STEP2……iDeCo(イデコ)の掛金を設定する
iDeCoの掛金は月々5,000円以上で1,000円単位で設定できる。
iDeCoの掛金の上限はそれぞれの加入資格で定められた金額になる。iDeCoの加入資格ごとの掛金上限金額を下表にまとめた。
被保険者区分 | 職業 | 月額上限 | 年額上限 | |
第1号被保険者 | 個人事業主 | 6万8,000円 | 81万6,000円 | |
第2号被保険者 | 会社員 | 会社に企業年金がない人 | 2万3,000円 | 27万6,000円 |
企業型DCに加入している人 | 2万円 | 24万円 | ||
DBと企業型DCに加入している人 | 1万2,000円 | 14万4,000円 | ||
DBのみに加入している人 | 1万2,000円 | 14万4,000円 | ||
公務員など | 1万2,000円 | 14万4,000円 | ||
第3号被保険者 | 専業主婦(夫) | 2万3,000円 | 27万6,000円 |
会社員の場合は、勤務先の企業年金制度が確定給付型(DB)か確定拠出型(DC)であるかによって、iDeCoの掛金の上限額が異なる。分からない場合は勤務先へ確認しよう。 ・iDeCo(イデコ)の手続きで追加書類が必要になる場合もある
iDeCoの掛金の金額変更は年1回しかできない。 iDeCoの掛金変更の手続きには「加入者掛金額変更届」の提出が必要になる。
iDeCoの掛金は原則的に毎月同額で設定するが、月ごとに掛金を変えることもできる。その場合は「加入者月別掛金額登録・変更届」に月ごとの希望拠出金額を記入して提出する。iDeCoの掛金の月額上限はないが、年額上限と5,000円以上1,000単位という条件は変わらない。
転職や退職と同時に前の会社で運用していた企業型確定拠出年金(DC)をiDeCoに移す人もいるだろう。その場合は「個人別管理資産移換依頼書」を併せて提出する必要がある。申し込み手続きに1~2ヵ月程度の時間が掛かるので注意しよう。
2.iDeCo(イデコ)の配分変更・スイッチングと手続きの際の注意点
iDeCoは長期間にわたる運用なので、経済環境や投資目的、リスク許容度の変化などにより定期的に投資資産のリバランスを行うことが重要だ。リバランスには配分変更とスイッチングの2つの方法がある。
リバランスにおける配分変更とスイッチングの違い
配分変更とは、今後買い付ける資産の割合を変更することだ。現状の保有資産の売却は伴わない。リスクを抑える目的で次回の買い付けより株式型の割合を減らし、債券型を増やすというような場合を指す。
スイッチングとは、現状の保有資産を売却し、その代金での新規資産の買い付けを行い、資産比率を変更することである。例えば、株式の値上がりに伴ってリスク資産の割合が高まっているときに、株式型を利益確定し債券型の買い付けに充てるといったようなことだ。
iDeCoでリバランスをするのならそれぞれの違いを押さえ、どちらを選択すべきかを判断する必要がある。
iDeCo(イデコ)の配分変更の手続きはiDeCo(イデコ)口座のある金融機関へ
iDeCoの配分変更の手続きはiDeCo口座を開設した金融機関によって異なる。基本的には各金融機関のホームページやコールセンターで行える。
確定拠出年金の記録業務を行う日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー(JIS&T)やSBIベネフィットシステムズで直接行う方法もある。まずはiDeCoを開設した金融機関で確認してみよう。
iDeCo(イデコ)の配分変更の締め切りは金融機関ごとに異なる
iDeCoは原則的に毎月26日に掛金の引き落としが行われその13営業日後に買い付けを行っている。iDeCoの締め切りは、金融機関ごとに引き落としから買い付けまでの間で設定される。iDeCoの配分変更には手数料はかからず、締め切りまでの間であれば何度でも変更ができる。
iDeCo(イデコ)のスイッチングの手続き
iDeCoのスイッチングの手続きもiDeCoを開設した金融機関によって異なる。配分変更と同様、各金融機関のホームページやコールセンターで行ったり、直接JIS&T、SBIベネフィットシステムズで変更したりする方法がある。
iDeCoでは3ヵ月に1回以上のスイッチングを行えるよう定められている。ただしスイッチングの回数や変更の締め切り時間も各金融機関によって異なる。
時間を問わず何回でもスイッチングできる金融機関もあれば、1日1回までなど一定期間内で回数制限を設けているケースもある。頻繁にスイッチングを行う場合は、自分の口座がある金融機関で回数制限を確認しておこう。
iDeCo(イデコ)でスイッチングの手続きをするときの注意点
iDeCoのスイッチングでは保有商品の売却と新規買い付け商品の選択を同時に行う。注意しなければならないのは、投資信託によっては売買約定のタイミングが異なる点だ。
iDeCoのスイッチングでは、売却の約定をもって新規商品の買い付けが行われるので、スイッチングの指図から買い付け約定までに数営業日のタイムラグがある。
手数料にも気を付けたい。iDeCoではスイッチング自体に手数料はかからないが、商品によっては売却時に信託財産留保額がかかることもある。 iDeCoで該当商品を保有している場合、頻繁にスイッチングをするとコスト増加につながってしまうので、コスト管理にも気を配る必要がある。
詳しくは以下も参考にしてみよう。
3.iDeCo(イデコ)の金融機関の変更手続きは簡単な反面コストがかかる
iDeCoでは1つの金融機関を運営管理機関として選択する必要がある。しかし購入したい商品が別の金融機関にしかなかったり、口座管理手数料が割高だったりするなど不満を感じることもあるだろう。そういった事態にも対応できるよう、iDeCoでは金融機関の変更が認められている。
iDeCo(イデコ)の金融機関の変更手続き
iDeCoの金融機関変更の手続きはシンプルだ。新しくiDeCo口座開設を行う金融機関に問い合わせて、「加入者等運営管理機関変更届」に必要事項を記入して提出すればよい。現在iDeCo口座のある金融金融機関での手続きは基本的に不要なので、強引な引き留めに合うことはない。
iDeCoの「加入者等運営管理機関変更届」には、変更前金融機関の名称、登録番号及び、変更前記録関連運営管理機関の名称、登録番号が必要だ。これらはiDeCo開設時の書類に記載されているが、分からない場合は変更前の金融機関に確認してみよう。
iDeCo(イデコ)の金融機関の変更手続きをするときの注意点
iDeCoの金融機関を変更するときには、次の点には注意して慎重に判断を行おう。
まずiDeCoの移管の際には、現状の資産はすべて売却され現金が移管される。相場状況によっては損失が出たり、売却に伴い信託財産留保額などがかかったりするケースもある。
また国民年金基金連合会の審査などを経て、資産・記録の移換処理が完了するまでに2~3ヵ月程度かかり、その期間中は運用や掛金の拠出ができない。移管元の金融機関によっては、iDeCoの移管時に手数料を取られるケースもある。
多くの金融機関では数千円程度であるが、iDeCoの移管を行わなければかからないコストだ。iDeCoの金融機関の変更を検討するときは、これらのコスト負担も加味して総合的に判断する必要がある。
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