メルマガは自社の新しい商品やサービスを紹介するのに有効な手段ですが、顧客のメールアドレスを使うのには厳格なルールがあるのをご存じでしょうか。顧客の名前やメールアドレスは、法律によって個人情報として保護されています。

今回は、メルマガや広告宣伝メールの配信で注意したいオプトイン・オプトアウトと、個人情報を守るために制定されている法律について解説します。

個人情報は勝手に使えない

顧客へのメルマガ配信などで注意しておきたいオプトイン・オプトアウトを理解するには、まず個人情報及び保護に関わる法律ついて知っておかねばなりません。

●個人情報とは?

個人情報保護法では、個人情報を以下のように定義しています。
「この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項により特定の個人を識別することができるもの二 個人識別符号が含まれるもの」
※個人情報の保護に関する法律 第二条(抜粋)

これをもう少しわかりやすく整理すると、個人情報とは以下に該当するものなどです。

  • 氏名

    ・ドメイン(会社名)と氏名から本人を特定できるメールアドレス
    ・個人を識別できる写真、ビデオ画像、録音された音声など
    ・インターネット、官報、電話帳などで公開されている個人に関する情報
    ・氏名と関連付けられるすべての情報  など

つまり、個人が特定できる情報はすべて個人情報に該当し、個人情報保護法による保護の対象となるのです。企業は個人情報を取得した場合、その利用目的を本人に通知・公表せねばならず、本人以外の第三者に渡すときは原則としてあらかじめ本人の同意を得るなどの手続きが必要です。個人情報保護法は、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした法律なのです。

オプトイン・オプトアウトとは?

それではメルマガを含む電子メールに関わるオプトイン・オプトアウトとは、どのような決めごとなのでしょうか。これは、2018年に施行された「特定電子メールの送信の最適化等に関する法律」で定められています。

●オプトイン(opt-in)

広告宣伝などの内容が入ったメールやメルマガなどの送信は、あらかじめ同意(オプトイン)した者に対してのみしか送ることができません。オプトインとは、「受信の受諾」という意味になります。

たとえばカード会社のWebサイトでクレジットカードの申し込みをした場合に、「お得なショッピング情報」をメールで受け取るかどうかのチェックボックスが設置されていることがあります。これが顧客のオプトインを求める仕組みです。

企業側は、顧客に送信するメールが広告宣伝目的であることを明示し、オプトインに同意した日時や方法を記録しておく義務があります。個人情報保護法で説明したとおり、企業は個人情報(この場合はメールアドレス)を取得した場合、その利用目的を本人に通知せねばならず許可のない場合には利用することはできません。

ただし、これには例外もあります。
たとえば挨拶で交換した名刺にメールアドレスの記載があった場合、この宛先には広告宣伝などの内容が入ったメールやメルマガを、オプトインの手続きを経ずに配信することができます。ここで重要になってくるのがオプトアウトです。

●オプトアウト(opt-out)

オプトアウトとは、メールの受信者が配信停止依頼などを行って、受信を拒否することです。

また、企業が広告宣伝などの内容が入ったメールやメルマガを送信する場合には、受信者が容易に解除依頼(オプトアウト)できるように、事業者情報や解除方法の詳細、解除リンクなどを文中に記載する義務があります。オプトアウトによる解除依頼を受けた場合、送信者は次回以降の配信を行うことができません。

上記の法律に違反した場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金(法人は3,000万円以下)が課せられる場合があります。