2020年に蔓延した新型コロナウイルス感染症の影響で多くの不動産オーナーが危機に陥りました。2021年もどうなるか分かりません。そして一番気になるのは資金繰りです。お金の不安を少しでも楽にするなら、2021年度分の固定資産税の減免申請を検討するとよいかもしれません。

2021年度の固定資産税の減免申請期限は2021年2月1日

2020年のコロナ禍で多くの不動産オーナーが収入減に陥りました。そのような事態を救済すべく政府が打ち出したコロナ対策の一つが「2021年度の固定資産税の減免」です。一定要件を満たすと、今年4月以降の固定資産税の納付額が減額または全額免除になります。

「2021年度の固定資産税は据え置きになったのでは?焦らなくてもいいのでは?」と思うオーナーもいるかもしれません。確かに2021年度税制改正ではコロナ禍のダメージを考慮し、本来引き上げるはずだった固定資産税は据え置かれることになりました。

しかし、それでも条件にあてはまるなら減免申請をしたほうがいいでしょう。減免は延納や納税猶予と違い、納税義務の全部あるいは一部が消滅するからです。一方、2021年1月現在、賃貸業の先行きは見通せません。そして現金は不動産経営の要です。長く投資を続けたいなら現金の支出はなるべく抑えた方がよいのです。

固定資産税の減免申請の手続き方法

ではここから、固定資産税の減免申請の内容を一つ一つ見ていきましょう。

対象者

対象となるのは、コロナで収入減となった不動産オーナーです。2020年2月から10月までの間のどこか連続する3か月間の収入の合計額が2019年の同時期に比べて30%以上減少していたら申請できます。なお、ここでいう収入とは家賃収入だけではありません。更新料や礼金、敷金のうち返還しなくてよくなった部分も含みます。つまり「事業上の安定的な収入」です。

また、対象の不動産オーナーは従業員が1000人以下の個人事業主又は資本金のない法人、資本金・出資金が1億円以下の法人に限られます。つまり中小規模の事業主限定なのです。「見た目は中小企業だけど、大株主が大企業」といった法人も対象から外れます。

減免割合

減免する割合は、既述の「連続3か月間の収入減」の割合に応じ、次のようになっています。

  • 30%以上50%未満の減少…1/2に減額
  • 50%以上減少…全額免除

なお、減免対象となる資産はあくまでも賃貸用アパートやマンションなど、賃貸業に使用している建物や償却資産に限られます。土地や自宅建物、別荘用の建物は対象外です。また、建物や償却資産の名義人と減免申請者が一致していないといけません。

必要書類

書類は認定経営革新等支援機関等(以下「認定支援機関等」)にいったん提出します。このとき提出する書類は次の通りです。

  • 固定資産税特例申請書
  • 収入減を証明する書類(会計帳簿や青色申告決算書、法人の決算書など)
  • 減免の対象となる建物の事業用割合が分かる書類(所得税の青色決算書や収支内訳書、法人税申告書の別表16など)
  • 資本金や出資金がわかるもの(登記簿謄本など。法人のみ)
  • 猶予の金額・期間が分かる書類(収入減に賃料の猶予が含まれる場合。猶予したオーナーのみ)

なお、固定資産税特例申請書は固定資産税を管轄する都税事務所や県税事務所、市区町村の窓口かウェブサイトで入手できます。

手続きの流れ

手続の流れは次のようになります。

  1. 固定資産税を管轄する都税事務所か県税事務所、市区町村の役所から固定資産税特例申請書を入手する。これと共に他の必要書類も準備する。
  2. 1.で準備した書類を認定支援機関等に提出する。
  3. 認定支援機関等が書類を確認する。申請条件を満たしていることが明確になったら固定資産税特例申請書に記名と押印をし、申請者本人に渡す。
  4. オーナーは認定支援機関等の確認印のある申請書と他の添付書類をもって管轄の地方自治体に固定資産税の減免を申請する。

なお、提出は窓口に直接提出か郵送、eLTAXでの送信です。地方自治体によっては償却資産税の申告と一緒に減免申請をするよう求めているところもあります。