国内外に21拠点をもつ株式会社クリーク・アンド・リバー社(以下、C&R社)。Techable(テッカブル)では、「VR建築展示場」や最短2時間でVR研修コンテンツを作れる「ファストVR」などを取り上げてきた。

そんなC&R社がドローンを開発するサイトテック株式会社とともに、山間部を中心に主に5つの分野でドローンを活用した重量物運搬の実証実験を実施したのが2020年。

このたびC&R社は、2020年に得た実証データやノウハウをもとに定常的な運航実績を重ねながら、機体やオペレーションの改善、UTMをはじめ周辺システムとの連携、環境整備などを関連する企業や行政と進めていくと発表した。これにより、山間部における重量物運搬の実運用化が大きく前進するかもしれない。

そこで今回は、2020年に実施された実証実験を簡単にまとめてみる。

資材を運ぶ検証

TECHABLE
(写真=TECHABLEより引用)

先述の5つの分野とは「物流・輸送」「林業」「土木・建設」「医療・災害」「計測・調査」のこと。以下、分野ごとにわけて紹介していこう。

「林業」においては、5月に岐阜県郡上市で、11月に長野県北安曇郡池田町で実証実験を実施している。

郡上市では、往復2kmの距離を自動飛行で苗木やTUBEX(単木保護カバー)を運搬したり、土砂が崩れ足場の悪い急斜面となった山の中腹に林道から1日300kgのイボ竹を上げたりしたようだ。

池田町では、林業関係者向けに最大20kgの林業資材を谷間を挟んだ片道約300mを運ぶデモンストレーションを行った。

6月には、山梨県南巨摩郡早川町にて「土木・建設」分野での検証を実施。これまでヘリコプターで運搬していた単管パイプ22kgや足場板などの建築資材を往復約1400m、ピストン輸送によって3日で約1トンを運搬した。

高度が必要な検証も

TECHABLE
(写真=TECHABLEより引用)

8月には、大気中のガス濃度を測定する「計測・調査」分野でのモニタリング試験を実施。

FTIRガス分析装置をドローンに取り付け、上空25mと50mの各3地点における大気中のガス濃度(二酸化炭素・一酸化炭素・メタン・亜酸化窒素・アンモニアなど)を測定している。

9月上旬~11月下旬にかけては、長野県茅野市の八ヶ岳連峰にて、標高2,500m前後にある山小屋への米やお酒などの日用品運搬と使用済みシーツやゴミ回収などを行った。

片道約2km、最高高度差約640mという道のりのなか、安全で燃費のよい最適な飛行ルートを設置し、最大15kgの日用品を輸送したようだ。