今期大人気の朝ドラ「なつぞら」は、連続テレビ小説第100作の記念作品でもある。劇中のアニメーションを担当して話題になっているのが「東映アニメーション」だ。今回は、同社の有価証券報告書から従業員の年間給与やその歴史を紹介する。
有価証券報告書とは?
日本証券業協会によれば、有価証券報告書とは会社の概況から事業や設備の状況、財務状況まで多岐にわたる情報が盛り込まれている報告書のことだ。
子会社を保有している企業の場合、連結決算と単体決算に分けて財務諸表が表示されており、単体はその企業のみ、連結は子会社や関連会社も含めた数字である。子会社の経営状況は少なからず親会社に影響するため、現在は日本を含め世界的に連結決算の数字が重視されている。
東映アニメーションの有価証券報告書には、これまでの東映アニメーションの歴史や全子会社の情報、株式の配当政策や事業のリスクなど、あらゆることが記載されている。経営者や投資家だけでなく、東映アニメーションを知りたい人にはうってつけの報告書といえるだろう。
東映アニメーションの平均年間給与は760万円
東映アニメーションの平均年間給与は、760万円。平均年齢は39.6歳で、平均勤続年数は10.1年だ(2019年3月31日現在における提出会社単体の数字)。東映アニメーションの従業員数は単体で436名、連結で695名である。
子会社を含めた連結ベースの売上高は、2019年度は432億円。前年度は379億円で、売上は堅調に推移している。また、利益も前期の78億円から今期は89億円まで成長しており、売上、利益ともに堅実に成長している印象だ。
セグメント別に見ると、売上の柱は版権事業であり、特に最近ではゲームの版権のビジネスが好調のようだ。
東映アニメーションの歴史 「ゲゲゲの鬼太郎」「ドラゴンボール」を手がける
東映アニメーションの歴史は古く、創業は昭和23年で、アニメ制作会社として立ち上がった会社だ。古くは「魔法使いサリー」「ゲゲゲの鬼太郎」から、「ドラゴンボール」「美少女戦士セーラームーン」、最近では、「デジモンクロスウォーズ」「HUGっと!プリキュア」など、国民的アニメといえる作品の版権を多く持っているのが特徴だ。
東映アニメーションの今後の動向 新規コンテンツがカギ
東映アニメーションにとって、追い風となっているのはコンテンツのデジタル化だ。世界中であらゆるコンテンツがデジタル化されている中、同社はこの波に乗って、アプリゲームや動画配信の版権販売ビジネスを大きく拡大させてきた。
一方、課題は新しいコンテンツの拡充だ。現在、好調のゲーム版権をけん引しているコンテンツは「ドラゴンボール」シリーズであり、今後収益への貢献が期待されるコンテンツも「ONE PIECE」や「聖闘士星矢」など過去の人気作品が多い。
日中米が共同で世界市場を見据えて制作したアニメ「The Monkey Prince(仮)」なども準備はしているものの、大型の新作ヒットコンテンツが潤沢に用意できているわけではない。アニメ産業はコンテンツの出来に業績が左右されることが多いため、良質なアニメを作り続けることができるかどうかが同社が今後成長するためのカギとなりそうだ。
文・MONEY TIMES編集部
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