日々目まぐるしく変化するビジネスの世界で、成功・成長している企業はどのような仕事をしているのか。
本稿では動画メディアで成長する企業C Channelの代表である森川亮氏を取り上げる。(取材・構成:杉山直隆)
※本稿は月刊誌『THE21』2020年11月号より一部抜粋・編集したものです。
LINEの社長を辞めて起業した理由とは?
「残りの人生で、日本を元気にすることをしたい」――。LINEの社長を退いて、5年前にこの会社を立ち上げたのは、そんな思いがあったからです。
現在53歳の私が子供だった頃は、日本経済は右肩上がりでした。その頃の日本を取り戻すには、どうすればいいのだろうか? そう考えた末、「日本の人々が元気になるメディアを作りたい」と思い至りました。
当時はまだインスタグラムの動画機能もTikTokもありませんでしたが、大勢の人たちがスマホで手軽に動画を観る時代が必ず来ると確信して始めたのが、F1層(20~34歳の女性)を対象とした縦型動画メディア「C CHANNEL」です。
「FIND YOUR CAWAII WAY(あなただけのカワイイを見つけて)」をコンセプトに、メイクやネイルの仕方、お勧めのファッション、料理の作り方などの動画を配信しています。
ユーザーの好みに合わせられるよう、動画の制作チームもF1層を中心に編成しています。映像を早送りにしたり、BGMをアップテンポにしたりと、試行錯誤を重ねながらノウハウを蓄積してきました。
「クリッパー」や「YouTubeクリエイター」というインフルエンサーを育てていることも、当社の大きな特徴です。こうしてユーザーが求める情報を提供し続けた結果、動画メディアで日本最大級のSNSフォロワー数を獲得できており、国内外のフォロワー数は3830万を超えます。
当社に所属するインフルエンサーもファンをつかんでいて、書籍やコラボ商品を出している人もいます。
「C CHANNEL」をはじめとするメディア事業の売上は、クライアントの商品のネイティブ動画広告を制作して配信するなどの広告収入と、クライアントの商品をインフルエンサーたちに使ってもらってSNSに感想を投稿してもらうインフルエンサーマーケティングが主です。
日本だけでなく、インドネシアや中国など、海外でも展開しています。2016年からは、アパレルや化粧品のeコマース事業にも進出しました。「KOBE LETTUCE」などのオリジナルブランドを販売していて、メディア事業を超える収入の柱です。